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開幕乱世・無頼 ◆hqt46RawAo /開幕乱世・無頼 ――都市部。 そのエリアは、見る者によって受ける印象を異にする。 平凡なる世界に生きてきた者であれば、近未来的と表現するだろう。 高度に発展した科学技術の世界に生きてきた者であれば、先進的には感じられないものの、多少の違和感を覚えよう。 そして機動兵器が日常的に存在するような、ロボットにありふれた世界に生きてきた者であれば、それは至極見慣れた町の景色だ。 現在、D-1エリアとE-1エリアの境界線を越えた一団の中では、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアとアリー・アル・サーシェスがこれに該当する。 平沢憂から見れば不自然なほど巨大な高層ビルや、圧倒されるほど大規模な町の発展、機動兵器が行動することが計算された道の作りであっても。 彼らはさほど気にとめない。日常に近しい景観だった。 一団は現在、島の西側にある都市部を南下している。目指す場所はひとまずエスポワール船と定めていた。 総合的に考えても、他の参加者と接触する候補地としては、おそらく戦闘のあったその場所が最上と言えた。 先の麻雀大会の最中における秋山澪の足跡を追う形。 例えニアミスになった場合も、そこから更に集団の足跡を追っていけば必ず行き当たるだろう。 それが主催者に対抗する集団か、はたまた殺人鬼のどちらなのかは分らないが。 「…………」 そのような意志で行動を開始していたルルーシュにとってすれば、目前にある状況変化は若干不可解なものであった。 進む道の景色は少しずつ変わってきている。 同じ高層ビルでも、朽ちて枯れたような廃ビル群から抜け出して、建てたばかりの塔が目に付くようになってきた。 しかし、ルルーシュにとってより不可解なのは、手元における変化である。 「さっそく予定が更新されるかもな」 手の平に乗せた、イヤホン型の通信機を見つめる。 それは着信状態を示していた。 両儀式へと試み続けたコールは遂に放送をあけても繋がらず。 半ば諦めていたところに、逆に向こうから通信が来たのだ。 何故今になって? という疑問を抱えながらも、ルルーシュは通話ボタンを押し込んだ。 『――――』 しかし暫く待ってみても、イヤホンの向こう側から声は無い。 ただ轟々と、風の吹き付ける音が聞こえていた。 「式、か?」 埒が明かない。 事を動かすために発した第一声。 それに応えた声は、 『ザザッ――ルルーシュ・ランペルージ、だな?』 ノイズに罅割れた声であっても、誰の物かを判断できた。 「その声……阿良々木暦、か」 肯定の代わりに名を呼び返して、ルルーシュはおおよその事態を察した。 まず優先したのは更なる現状理解。 ノイズに紛れて聞こえてくる音は機動兵器の駆動音だろう。 脳裏に断片的なキーワードが浮かび上がる。 阿良々木暦が操縦している訳でもなさそうだ、 ならば向こうは複数、 おそらく『あちら』も『こちら』を探していた、 スザクがいる可能性は比較的高い、 この男が交渉役に抜擢されたのは不可解、 等々。 まず、あちらがどこを移動しているかを知ることが第一に優先される。 通信状況が著しく悪い。急がなければならない。 余計な思慮を挟むことは無い。 優先順位の上のほうから消化するのが、彼の基本的な動き方だった。 「確認する、そちらは主催に反抗する集団か?」 『そうだ』 あちらはやはり集団。 ならばゲーム終盤である今の状況において、 黒の騎士団以外ではおそらく最後の対主催者集団となるだろう。 接触しない、手はない。 「そちらの位置は?」 『ザッ――E-2の北西から、E-1に入る』 酷く罅割れた音声。しかし冷めた調子の、簡素すぎる返答だった。 阿良々木暦がいかな思いをルルーシュに向けているか、少なくとも好感は無いと思われる。 むしろ悪感情を持っていてなんら不思議ではない。それが自然。 けれどイヤホンの向こうから聞こえてくる声は、全てを圧し殺しているように硬い。 感情を押さえつけ、必要なことだけを言い交わす意思。 ルルーシュとて同じであったが、阿良々木暦の人間像には一致しない。 何か、向こう側にはのっぴきならない事情でもあるのか、 とルルーシュが予測を立てたとき、告がれられた情報。 『そろそろE-1に入る――ザザザザッ』 ひとまず、得るべき理解はそれだけで十全にこと足りた。 ――良い。 予想以上に都合が良い状況だった。 こちらの集団と、あちらの集団。 双方が同時に移動していた中で、すれ違うか否か瀬戸際の、ベストなタイミングで通信が繋がったことになる。 「俺はエリアE-1の北東部に南下しているところだ。 そっちはこのまま西へ移動し続け、E-1に進入した後は北上しろ。 手順を間違えなければ、数分も経たないうちに、合流が可能になるはずだ」 後は兎も角、状況的に言って合流の一択。 流石に、むこう側も心得ているようである。 簡素な答えが跳ね返る。 『分った』 この時点で、ルルーシュにとって確認すべきことは全て為したといっても過言ではなかった。 此処から先は半ば余談だ。 後はもう、合流までの調節と、合流後の準備のみ。 『必要』ではなく『有用』なことを聞く。 「質問が二つある。 そちらに枢木スザク、両義式、秋山澪の3名はいるか。 いるならば何故お前が連絡を寄こしたのか、答えられるか?」 『一つ目は……、枢木は、いま手が離せない状態だ。両義式はお前と話したくないって言ってる。 それと……その秋山って子は……ここにはいない』 「そうか」 思いつく限り最良の結果だった。 戦力と目的、同時に果たせる。 これ以上に望むことは無い。 たとえ、最善はなかったとしても。 故に次に問うべきことを、冷静に検分する。 電波状況は著しく悪い。悪くなり続けている。 通信の断絶は時間の問題に思われた。 とはいえ語らずとも、近いうちに邂逅は果たされる。 ならばここで、残る時間に交わすべき言葉とは。 「スザクと、繋げる気はあるか?」 しばし、重苦しい沈黙が流れた。予想された反応。 スザクが、ルルーシュの知るスザクとしてそこにいるならば、周囲の者が繋がりを危惧することは当然でもある。 ルルーシュは待った、あちら側の反応を。 そして返された答えは漸く、感情の色を持っていた。 『その前に、こっちから聞きたい事がある』 それが阿良々木暦の答えだった。 拒絶でもなく、許可でもなく、ただ意志を通す、私情を通す。 『お前なら、首輪を外すことができるのか?』 一秒にも満たない僅かな間、逡巡する。 首輪の解除は可能である、今ならば出来る。 合流する際のカードになると考えていた情報だけあって、言うつもりは無かったのだが。 「できる」 ルルーシュは、嘘偽り無くそう告げた。 阿良々木の言葉に含まれていたもの。 今まで感情を抑えていただけあって、顕著に現れていた。 その強さがルルーシュに、ここでハッキリと言うべき台詞を選ばせた。 『そうか……、……そうなのか……!? 本当に?』 「ああ、可能だ。お前の出かたにもよるがな」 『…………』 「怒るな。当然のことだろう。俺達の関係は、少々複雑だからな」 『分ってる……』 首輪が不快だから、怖いから。 そういう単純な理由で阿良々木が焦っているわけでないことは、ルルーシュにも察せられる。 彼の声からは一刻の猶予もない、断崖を目前にした焦燥の念を感じていた。 しかしだからと言って、ここで甘さを見せるわけにはいかない。 交渉を望むならば迅速かつ慎重に、これは双方の集団全体のために必要なことだ。 その点で言えば、今焦りに突き動かされるこの男は話にならない。 「全ては合流後の話だ。もう一度聞こう。スザクに代わる気はあるのか?」 『……っ……もう一つ、ある』 「なんだ?」 すぐさま返された否定の言葉に、 眉を顰めて、続きを促す。 『平沢憂のことについて、だ』 そしてルルーシュは内心、深く嘆息した。 やはり、この局面でそれか。 それが、阿良々木暦の優先するべき事柄なのか。 合流を目前にして。 過去の遺恨を語るでもなく、こちらの思惑を探るでもなく、そちらの意志を述べるでもなく。 これからの事を考えるですらなく。 阿良々木暦はただ、他人を気にかけている。 たとえば、首輪を外さなければならない誰かを。 たとえば、救いを求めて彷徨う少女を、この世界でただ一人、本当の意味で気にかけていた。 ならば、この男は、善人(どく)だ、と。 ルルーシュはそのとき、理解した。 この阿良々木暦という人間のあり方を知った。 辟易を滲ませて、確信する。 「そうか」 ならばもう、先に待つものは断絶と拒絶、それだけだろう。 決して分かり合えないという、現実が待つのみだ。 ルルーシュは通話を打ち切ろうと、指を伸ばし。 『それが終われば、枢木に繋ぐ』 もう一度、嘆息して。 「なら続けろ」 阿良々木暦へと、先の見えた会話の続きを促した。 ■ ■ ■ ■ 「これにて、戦闘準備終了っとぉ……! よぉーやく一息つけるってもんだぜ」 ぐぐぐっと身体を伸ばして全身をほぐし、脱力ついでに腰を下ろす。 ホバーベースの甲板にて、アリー・アル・サーシェスは風を浴びながら胡坐をかいていた。 緩やかに朝日が登っていく蒼天と、日に照らされる都市が反射するキラキラとした光を、涼しげな表情で眺める。 リラックスした体で、組んだ足の上に置いたデバイスを、画面も見ずに操作する。 「いー風だ。やっぱ一日の始まりは朝からっだなー……あ?」 朝飯をたんまりと平らげた満腹感を持て余すように弛緩していた表情。 それが、ぴくりと反応する。 緩んでいた丸い頬と、爪楊枝を咥えていた口元が、瞬時に引き締められる。 唯一、瞳だけは元よりギラつきを失っておらず、自然な動作で視線を空からデバイスへと移し変えていた。 「……ほおほお、やっとかい?」 デバイスの画面。 先ほどまで表示していた、経路を確認するためのマップが消えていた。 代わりに映し出されていたものは、見知った文字。 ――着信アリ『"あちらがわ"』 「よっ、大将。久しぶりだな」 期待を寄せながらコチコチとデバイスを操作し、本来の雇い主からの指令に応答する。 デバイスに映し出される雇い主の姿。 それは劣悪な電波環境の中で歪んでいたが、本質的には問題なく表示されていた。 募る思いを込めて、言葉をかける。 「待たせてくれやがってよぉ?」 現在サーシェスが属しているチームは、決してサーシェスにとって悪いものではなかった。 寧ろ良い、少しばかり気に入っている。 仮の雇い主は付き合いやすい男だったし、あの哀れな少女は弄りがいがあって面白い。 居心地の良い空間だ。仮宿としては理想以上に良物だった。 しかし、サーシェスとしては、そろそろ動きが欲しい頃合である。 居心地は悪くないが、このままでは退屈してしまいかねない。 その前に、始まって欲しい。次の戦端を、開いて欲しい。 胸中で、再び燻りだした戦場への想い。 そんなサーシェスの心情を読んだかのように、クライアントからの要望が届いたのだ。 「こっちは律儀に働いてたってのによ、連絡もしねーで何やってたんだ? 腹でも壊してたのかい?」 軽口交じりの文句とは裏腹に、口元は良い意味で歪んでいる。 届く指令の内容を見るまでも無く、血の臭いが香ったからだ。 「――やあ。確かに、久しぶりだね」 「ちゃっちゃと用件を頼むぜ? なにやら通信状況もよろしくねえ」 「そうしようか。今回、君には二つほど伝えることがある。 一つは、称賛。もう一つは注文。これは同じ件に関することなんだけどね」 画面の向こうの人物から伝わる調子は、特に前回までと変化した様子は無かった。 変わったことと言えばその姿がよく見えないという一点だけだろう。 「面倒くさい言い回しだが、称賛ついでに注文をくれるってことか、はっ、ありがたいこった」 「ああ、称賛を受け取るついでに役割を果たしてくれってことさ。分るだろう?」 「了解だ。大将のそういうところは嫌いじゃねえよ。で、具体的には?」 「まずは、『例の件』について、よく働いてくれたね。あれで問題ないよ」 「まーな」と、サーシェスは苦い感情を隠さず含ませて返答した。 放送前に下された任――そして先ほどやり遂げた『その件』に関して。 実際、サーシェスはあまり良い印象を持っていない。 それは限りなく茶番に近い、くだらないやり取りだったからだ。 俺を使うなら戦場をよこせ。 そういう苛立ちが無かったといえば嘘になる。 「けどよ、大将。旦那……ルルーシュは普通に気づいてるぜ? 大将の意図に、だから試すこともしねえ。首輪は外さねぇ。 ていうかよ、あんなもんあからさま過ぎて怪しく思わねえほうがおかしい」 「だろうね。もちろん、彼は馬鹿じゃないし、それくらいの察しはついているだろう」 「だったら、何故に?」 「それが狙いだからさ。僕の意図はそこじゃない。 僕がやりたいことは伏線、保険、先手、っていうやつさ。君は何も危惧する必要は無いよ。 万事は予定通りなのだからね」 「それならいーけどよ。いや、しょーじき俺は別に何が起ころうと構いやしねぇし」 傭兵はカラカラと笑いながら言い切った。 仮の雇い主どころか、大本の雇い主に何が起ころうとも、それが楽しめるなら構わないと。 年端も行かぬ少女の破顔は、それだけを切り取れば無邪気で悪戯っぽい、微笑ましいものだ。 されどその細められた目、目蓋から覗く冷たい眼光は、まるで射すくめるように鋭く、喰らいつくように獰猛。 獣であり、狩人である。 それが肉体が変質してもなお変わらぬ、アリー・アル・サーシェスの本質だった。 「僕も君のそういうところは嫌いじゃない」 それに、クライアントもまた苦笑いを返しながら、朗らかに答えてみせる。 「そいつぁーありがとよ」 「で、だ。君には働きに見合った報酬を渡そうかとね」 働きによっては、武装面の支援もある。 サーシェスはそんな言葉を思い起こす、が。 「いらねーよ」 即決で、断った。 アレは傭兵の仕事ではない。そんなものに報酬はいらない。 プライドというものが、ある。自分で定めたルールがある。 例えそれが、戦争が好きで好きでたまらない、人間のプリミティブな衝動に準じて生きる最低最悪な人間であっても。 最低には最悪なりの、矜持というものが在るのだ。 だからそんなものよりも、今は戦争が欲しいのだ、と。 「そう言わずに」 だが、声は含み笑って続けた。 「もう少し聞いて、それから考えて欲しいね。 いやなに別にたったアレだけの仕事で、君を有利にしようなんて僕も思わないよ」 雇い主は、取引の内容を語り始める。 「これは、そうだな。ボーナスミッション、とでも思えばいい。 言ってみれば、余興さ。 僕としても、ちょっとしたサプライズイベントだったんだ。 ならば、単純に処理するよりも、いっそゲームに組み込んだほうが面白いだろう?」 サーシェスは暫し黙し、その意図を徐々に理解して、更に続きを促した。 「つまり遊びを思いついたってことか。 ま、いいさ、聞かせてみろよ」 ■ ■ ■ 『お前は最終的に、あの子をどうするつもりだ?』 少年の声で投げかけられた質問に、男は淡々と答えた。 「どうもしない」 『どうもしない……だって?』 その言葉が何を意味しているのか、少年は理解に数秒の時が必要らしい。 故に男は重ねて告げる。 『ああ、俺はあいつをどうするつもりもないさ。 俺はあいつに何もしてやらない』 それはつまり。 加害者の自白であると同時に、罪の放棄を意味していた。 相対する少年は当然、怒りをもって応える。 『……ふざけるなよ。お前は分っているんだろ? あの子がいまどんな状態か。 あいつは大切な人のために人を殺して、なのに大切なモノを失って……。 そんな子を利用しておきながらお前は……なんの責任も取らないつもりなのか?』 少年は断罪する。男の罪を責める、正しき声を上げる。 「だとすれば、お前こそ、何が分る?」 しかし男は、断罪の声を更に斬って捨てるように、冷めた声で返答した。 『なん……だと……?』 「あいつの、何を知ってる? 何を理解してやれる?」 『僕は……平沢を……』 「あいつを助けたいと、お前はそう言うのか? だとすれば、お前に何が出来る? 考えてみろ」 男の声には、以前少年に振舞ったような、作り物めいた調子は既にない。 どこまでも重たい言葉、沈み込んだ声色はまるで鉛のようだった。 「無理だな。お前にはあいつを救えない」 『そんなことがお前に……!』 「分るさ。お前はあいつを何も知らない。理解してやれない。 だから何も出来ない。殺されてやるくらいが関の山だろうさ」 男の言葉は真実だ。 相対する少年にもそれは分るのだろう。 少年は何も知らない。知らすぎている。 関る期間が、足りていなかった故に。 『…………っ』 何も言えず、少年は悔しげな声を漏らす。 しかし男の口ぶりからは、理解が伺えた。 いま話題となっている一人の少女への理解だ。 相対する少年が知らないことを、分かっていないことを、男は知っている。 そのくせ、諦観していた。全てを諦めていた。 だからより悔しげな念が、少年の言葉から滲み出る。 『だったら、お前が……救ってやれば……!』 それは、血を吐くような思いで発せられた言葉に聞こえた。 己のプライドを自らへし折るような、苦行だったのだろう。 「それも無理だな。俺はあいつを助けない。救わないし、救えないんだよ。 まだ分らないのか? もうこの世のどこにも、あいつを救える奴は残っていない」 それでも、男の声は変わらなかった。 無情、冷酷、冷徹な言葉だった。一切の温情を撤廃したような。 容赦無き、言葉の羅列。 「手遅れなんだよ。お前は遅すぎる。 彼女はあまりに失いすぎて、そのくせ奪いすぎた。 そして、向き合うことに、何の覚悟も持っていない」 『……くそが』 男はそこまで、理解しているくせに、 知ったような口を聞けるくせに、何もする気が無いと言う。 それこそが、少年には許せない。 『なあ……お前は……本当にお前じゃ駄目なのか? お前は知ってるんだろ? 理解してるんだろ? 平沢のことを。 それでもお前は本当に、何も思わないのか?』 「…………」 男はその質問に、答えず。 「何度も言わせるな。俺は、平沢憂を『どうもしない(犠牲にする)』んだよ。 ……ただ、それだけだ」 それは決裂の言葉だった。 何より深い、断絶の瞬間だった。 相対する少年も、この男も、分かり合える日は来ないのだと確信する、一撃だった。 『そう……かよ……』 「そうだ」 『だけど僕は認めない、諦めない』 「そうか」 相対する少年の声は揺るがなかった。 男が諦めるならば、勝手にすればいい、と。 それでも己は、全てを諦めない。 男と戦う事すら辞さない覚悟だと、告げていた。 『――それでも、無理だろうさ』 固めた決意を、告げられて、 しかしもう一度、男の否定が下された。 当然、相対する少年も、引き下がるつもりは無い。 男とて、それは既によく分っているのだろう。 だからこれは、誰かに向けた言葉ではない。 最後に男は、誰にともなく、呟くように。 それは願いに似た、ただ消えていくだけの言葉だった。 『お前には、あいつを助けられない。なぜなら――』 通信は、そこで途絶えた。 ■ ■ ■ 「ルルーシュさん」 その声に、操縦桿を握っていたルルーシュは背後を振り返った。 イヤホンを耳から離し、操縦席のすぐ後に立っていた少女と向き合う。 そこには、パイロットスーツを着込んだ平沢憂が立っていた。 「どうした、憂?」 「ちょっと休憩することにしました」 「そうか、そうだな。根を詰め過ぎて本番で力を発揮できないようでは困る。いい判断だ」 彼女は先ほどまで紅蓮の操縦練習に明け暮れていた様子だった。 少しだけ疲れた面持ちである。 褒められたことが少し嬉しかったのか、 ふにゃりと笑顔を浮かべて操縦席の背後のソファに腰掛けた。 「ふぅ……熱いです」 パイロットスーツを少し緩め、憂は火照った顔を手で仰ぐ。 一際狭い紅蓮のコックピットの中にいたせいか、髪の毛の先まで汗びっしょりの様相であった。 既に根を詰めすぎている。ルルーシュにはそう感じられた。 「さっき、式と通信できたよ」 「そうですか、式さんと……」 憂は喜んだ様子であったが、ルルーシュの言葉から言外の意味も感じ取ったのだろう。 同時に少し、残念そうな面持ちでもあった。 「やはり、澪が気がかりか?」 「い、いえ……あの、それで、どうなりそう……ですか?」 指摘されて、慌てたように取り繕う憂を見ながら、 ルルーシュは立ったまま、操縦桿に背中をつけた。 「式は現在、とある集団に属しているらしい。 南下を継続すれば、いずれ遭遇するだろう。 その時までに向こうの集団への対策を練らなければな」 「はい。分りました。それじゃ私は何をすればいいですか?」 「…………」 「ルルーシュさん?」 「お前は……」 「はい?」 「お前は、何も聞かないんだな。出会う集団についてとか、なんで通信機が繋がったのか、とか」 「それはだって、そういうのは全部ルルーシュさんに任せてますから」 「……そうか」 「はい」 少女の表情に迷いの色は無い。 屈託の無い顔つきで、ルルーシュを見つめてくる。 対して、ルルーシュは憂の顔から視線を離して、天井を仰ぎ見た。 やがて長い間を開けて、ポツリと、まるで何かの間違いのように、感傷的な呟きが零れ、 「…………憂」 「なんですか?」 「……いや、なんでもないよ」 操縦桿から背中を離す。 再び少女に背を向ける。 それは会話の終わりを意味していた。 何一つ結果を出さない。中途半端な終わり方。 けれどルルーシュはそれを良しとして。 「準備しておけ、もうすぐ合流し――」 「聞かせてください」 無いと思っていた切り返しに、もう一度背後を振り返る。 「……憂?」 「いま、なんて言おうとしたのか。最後まで、聞かせてください。……駄目ですか?」 何の予感を得たと言うのか。 請うような目で、少女は見上げていた。 「……大した事じゃない」 「聞きたいんです」 縋るような目で、少女は言う。 「お前……」 けれど曇りなき目で、少女は聞いていた。 それは聞かなければならないことなのだと、信じているように。 透き通った視線。 「…………」 「本当に、大した事じゃないんだが……」 「…………それでも、いいから」 この目、おおよそ好むものではない。 麻痺していたはずの感覚で、久方ぶりにバツの悪さと言うものを感じながら。 ルルーシュはやはり憂から目を逸らして、やがて観念したように言った。 「…………なあ、憂。……お前は……」 「はい」 「どんな世界が好きだ? たとえば世界は、どんなふうに変わればいいと思う?」 質問の意図はあまりに抽象的で、 そのくせ意志はどこか筒抜けのようで、 だから言いたくなかったその言葉を、口にした。 「…………」 そして返される答えは、 「ん……ごめんなさい。 世界とか、私にはスケールが大きすぎて、すぐにはハッキリした答えを返せないみたいです……」 頬をかきながら、苦笑い交じりの、予想通りだった。 聞かなければよかったと、ルルーシュはもう何度目かも分らない自嘲を浮かべる。 こんな漠然としている質問を、ガランドウの少女に答えさせてどうする。 そんな仕打ちをすることに何の意味があったのか。 彼女とルルーシュは、そもそも生きてきた世界すら違うと言うのに。 「だろうな」 何を考えて、この質問を口にしようとしたのか、自分でも分らなかった。 頭の痛みで呆けていたのだろうか。 などと考えつつ今度こそ、ルルーシュは会話を終わらせようとして。 「でも……」 少女の言葉には、まだ続きがあったことを知らされた。 「世界なんて、変える必要あるんですか?」 「――――なに?」 「私は……思うんです。ずっと、幸せな今日が続けばいい。 私と、私の好きな誰かが傍にいて、互いに優しければそれだけで、十分なんじゃないかって……」 拙く放たれたその言葉に、 ほんの一瞬、言葉を、失った。 「せめて、大切な物を大切だって思えれば、毎日が辛くても、大変でもいい。 隣にいる誰かが、隣にいる誰かに少しでも優しくしてあげられるなら。 たとえ、どんな世界でも、きっと私はそれだけで幸せを感じられるから……」 壮絶な概視感に、眩暈がした。 「…………」 「なんて……あははっ……綺麗ごと、ですよね。しかも自分勝手。 ホントはそれだけで満足できるわけがなくて、 優しくなれない人もいて、優しくなれない時もあって。 それに誰もがずっと、大切な人と一緒に居られるわけじゃない……」 その言葉と、とてもよく似た世界を望んだ少女が、似たことを言った少女が、かつていた。 ルルーシュの一番近い場所に、一番に守りたい存在として。 そしてもっとも恐ろしい、一番最後の敵として、立ちはだかった少女の理想。 「でも、ルルーシュさんは優しいです。だから、私はいま……、……?」 咄嗟に隠さなければと思う、何かを。 しかし内心に衝撃を受けていたルルーシュよりも、 ルルーシュを見上げる憂のほうが、なぜか驚いた表情を浮かべたまま固まっていた。 「……どうした?」 掠れた声で、今度はルルーシュが取り繕う。 「あ、いえ、ルルーシュさんがそんな顔するの、始めてみたから」 ふ、と。 引き寄せられているかのように、憂がソファから立ち上がる。 そのまま数歩、ルルーシュの目の前まで歩み。 この先もずっと記憶しようと言うように、じっとルルーシュの表情を覗き込んだ。 「……」 「……」 沈黙の中。 手が、ゆっくりとルルーシュの頬へと伸ばされる。 まるで撫でるように、労わるように、その小さな指先が触れる、寸前だった。 「――それじゃあ、ルルーシュさんは……」 見上げる少女は、相変わらずの透き通った目で、質する。 ふと、なにかに気がついたように。 「ルルーシュさんは、どんな世界を、望みますか?」 かすめていく、小さな音で。 彼女の存在と同じくらい、消えそうな声で。 それがあまりにも、儚くきこえたから、だろうか。 「……俺は」 気がつけば、勝手に喉が震えて、言っていた。 彼女に告げるはずの無かった、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの、答えを。 「望む世界に、名前はない」 それは、彼が戦い抜いた果てに掴んだ、一つの解だった。 「なぜなら世界は……変わり続けるから」 幸せは固定できない。 苦しみは幾度も廻ってくる。 それを、それだけを、彼は長き戦いの中で、知っていた。 「過去にある幸せも、今の辛さも、全て大事だけど縋ることは出来ない。 俺には、留まることが、許せなかった」 昨日に帰ろうとした男がいた。 今日を留めようとする男がいた。 その二つを、かつて、彼は否定した。 「俺はただ明日が欲しかった。 時を止めたくはなかった。 そこに、その先に、続くものがあると信じたから――」 口を滑らせてしまった、その言葉。 もう撤回は出来ない。 なのに思ったより後悔は無く。 むしろ、理解できるだろうか、と少女を見やり。 「あし、た……」 ピンと来ない様子の彼女に、安堵を覚える。 それでいい、と。 漸くいつもの余裕が戻ってきたルルーシュは、軽い苦笑を浮かべて、肩をすくめた。 部屋を満たしていた硬い空気が、幻のように霧散していく。 「なんて、な。まあ、そんなところで雑談はお終いだ」 これで今度こそ、余計な言葉は仕舞いだ、と。 少女の肩を、片手でそっと掴んで、回れ右。 操縦室の出口の方向に、憂の身体を向けさせる。 「ちょ、ちょっと……ルルーシュさんっ……!?」 「ほらほらのんびりしている暇はない。一時間もしないうちに合流だぞ。さっさと着替えて来い」 「そんなっ、もぉ、中途半端ですよー!」 有無を言わせず、ずいずい押して、廊下にむかって歩かせる。 腕を気遣ってか憂は渋々と歩き出すものの、首だけ振り返り抗議しはじめて。 「ちゃんと説明してくださ――」 どこか緩んだ雰囲気が流れ始めていた。 その時だった。 『――――ザザザザザッ!!!!』 ルルーシュの背後、 操縦席においてあったイヤホンから、大量のノイズが鳴り渡ったのは。 「「――!?」」 ルルーシュは眉を寄せ、憂は驚いた声を上げ、両者同時に振り返ってイヤホンに注目する。 間をおかずに鳴り鳴り響く音。 罅割れたノイズの渦中から発せられた声は―― 『一方――う―に遭遇した!!――西へむかうのは――う不可能――!! ――南のショッピングセンターから周りこんで行――から、そっちは南下――続けてく――!! ――頼む――一刻も早く――時間が無い――!!』 少年の、焦りに満ち満ちた声だった。 「ルルーシュさん、今のって……」 だが、それを察した憂の言葉が完遂する前に―― 「おい、やべえぞッ旦那!!」 ドアを蹴破る勢いで操縦室に飛び込んできたサーシェスが、 二人の前方にある外の風景を写すモニターを指差して、叫ぶ。 「見てみろ!!」 ルルーシュも憂も、それを同時に見て、同時に理解した。 戦いは、既に始まっている。 遂に戦場が、動き出しているのだと。 「奴かッ!?」 『もう一つの集団』は敵対する何者かと戦闘に入り。 そして今、ルルーシュ達の目の前には―― 「ああ、きやがったぜ!!」 進むホバーベース前方のビル街、並び立つ摩天楼の内一棟。 最も高い建造物の、その屋上に在る強大なるモノ。 日のもとであれば尚のこと、その深淵を見過ごせるはずが無い。 「織田……!!」 操縦桿を強く握り締めたルルーシュの発する、敵意の声を、 「信長ですか、あれが……?」 モニターを見上げたまま硬直した憂の、掠れた声が拾い、 「ああ、間違いねぇよ」 酷薄に笑んだサーシェスの、武者震いを含んだ声が肯定する。 「アイツがそうさ。あの化けモンが、な」 黒き渦である。 聳え立つ塔の頂点にて、空の群青を一画塗り潰して君臨する、膨大の黒点。 即ちそれは、覇者の軍勢に相当した。 一騎にして当千、当万、当億を超える規模の途方もない密度で凝縮されし魂魄。 其れはむき出しの闘志を収束し、煮詰めた地獄の業火そのもの。 故に誰もが知り、誰もが恐れ、誰もが敬いし男が一人、黒点の中央に立っている。 漆黒の武人。 曰く、魔王。 戦国武将、織田信長。 それがいまルルーシュ達の目前に立ち塞がる、底無しの闇の名であった。 「――即時」 対して、ここにもう一人、魔王と呼ばれた男は臆す事無く。 ただ一つの指令のみを、己が手足へと叩きつける。 それは巨大にして矮小なる艦内へと、荘厳に響き渡る開戦の鐘。 「対応するぞ! 戦闘開始だッ!」 「おうさ!」 「は、はい!」 かくして号令と共に、三者は動き出す。 生きるため。 戦うため。 それぞれの役目を果たすため。 ここに、第二の戦端も、その幕を開いていた。 【魔王狂想編・開幕 / Black Side--Start】 時系列順で読む Back ゲーム・スタート Next crosswise -white side- / ACT1 『PSI-missing』(1) 投下順で読む Back ゲーム・スタート Next crosswise -white side- / ACT1 『PSI-missing』(1) 298 前夜祭の黒騎士たち ルルーシュ・ランペルーシ 304 crosswise -black side- / ACT1 『疼(うずき)』(一) 298 前夜祭の黒騎士たち 平沢憂 304 crosswise -black side- / ACT1 『疼(うずき)』(一) 298 前夜祭の黒騎士たち アリー・アル・サーシェス 304 crosswise -black side- / ACT1 『疼(うずき)』(一) 299 わたしとあなたは友達じゃないけど(後編) 織田信長 304 crosswise -black side- / ACT1 『疼(うずき)』(一)
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おくりびと/燃える火のように ◆fQ6k/Rwmu. 千石撫子が、死んだ。 ***** 「虚言! 全ては帝愛らの虚言でござる!!」 駅の中、真田幸村は大声で叫んだ。 虚言とは、ついさっきあった放送の事である。 3人ここに集った中で行われた放送に、幸村は我慢がならなかったらしい。 「片倉殿が亡くなられたなどと!! あのような方が、こんなところで斃れられるはずがない! そもそも、このような一方的な死亡告知など、信じるに値せず! 恐らくは我らを惑わす為、彼奴らめ嘘の死者の名前を挙げているのでござる! そう思わぬでござるか、せいばあ殿!!」 同意を求めてセイバーに顔を向ける幸村。だが、それに対するセイバーの顔はいたって冷静なものだった。 「いえ、ユキムラ。 私はその可能性は低いと思う」 「なっ!! 何故でござるか!」 「確かに私達はここに至るまで、まだ誰の死体も目撃していない。死者の虚偽。確かに可能性が無いわけではない。 ですがユキムラ。もし生存者の名前が読み上げられてしまったなら、そんな嘘はすぐに明らかになる。 例えば、ここで貴方の名前が挙げられたなら嘘はすぐに分かる」 「しかし! 某たちにはわかっても、他の方にはわからぬ! 政宗殿や忠勝殿を追い詰める為に、某の名を上げることも!」 「そんなことをすれば、その後の放送で少なくとも私と貴方、コヨミを追い詰める事はできなくなるでしょう。 私たちが放送の嘘を伝えた相手もそう。 あからさまな嘘はすぐに伝達できます。よって、生存者の名前を読み上げても意味がない」 「ぬうっ……! ならば、拉致! そう、それでござる! 奴らは未だ片倉殿たちを捕らえている! あるいはもう一度捕らえた! それならば!」 幸村が更に上げる可能性に、セイバーはため息をつき被りを振る。 「ユキムラ。 それは希望的観測でしかないのはわかっているはずだ。 それに彼らの目的は私達に殺し合いをさせることのはず。 わざわざ介入してしまうことは最小限でしょう。ですから、彼らがわざわざ名簿に載せた人物、放送で追加した人間を捕まえたりして 自らの興が削がれる事をするとは思えない」 「ぬ……うっ。 し、しかし!そうでなければ片倉殿が!ましてや阿良々木殿の」 「ユキムラ!」 セイバーの静止に幸村はしまった、と言わんばかりに口を手で抑えた。 そして二人は視線を自然に移動させる。 その先には、座ってこっちを見ている阿良々木暦がいた。 「も、申し訳ないでござる阿良々木殿!某……」 「ああ、いいって………大丈夫………僕だって、もう落ち着いたから」 そう言って静かに小さく笑う阿良々木暦。 だが、セイバーも幸村も感じていた。 その笑顔にはまるで力が無く、そして彼から感じる感情の漏れを。 例えるなら、燃え滾る炎を鉄でできた球の中に封じ込めたような感覚を2人は感じていた。 炎自体は外に漏れず見えもしないが、熱は鉄を通して外に漏れて感じる事ができる。 そんな何かがひしひしと阿良々木から感じられる。 阿良々木暦は平静を装いながら、ある『感情』を抑えきれずにいる。 その原因は明らかにさっきの放送だった。 本人は隠していたが、放送で2回名前が挙がった時の反応のタイミングで一体誰の名前に反応したのかは丸分かりだった。 阿良々木はしばらくしらばっくれていたが、結局2人の気迫に根負けして白状した。 彼は『千石撫子』の名前に動揺したのだと。 軽く千石撫子との関係を話した後、幸村がさっきの虚言説を取り上げたのだ。 彼としては、片倉の死も撫子の死も否定したかったのだろう。後者は勿論阿良々木の為に。 だが、それは希望的観測。自分たちにとってしかメリットのない『こわれた幻想』だ。 セイバーは幸村があからさまに燃え滾る赤い炎ならば、阿良々木は静かに燃える蒼い炎のように感じた。 阿良々木はクールそうに、飄々そうにしていながらそうではないのだというのを悟り始めていた。 彼は未だ、千石撫子の死に何か考えているのだと。 (シロウの名は呼ばれなかった。私以外の4人のサーヴァントも同じく。 ですが、シロウの性格から言って彼がこのような場で危険な位置にいるのは明白。 ………早く合流しないと――ん?) ふとセイバーは何か小さな振動を感じた。 連続的に、短い周期で何回も起こる振動。それは彼女の持つデイパックから伝わってきている。 (デバイスは手元にある……まさか、私がまだ確認していない支給品?) セイバーは振動するデイパックに手を入れて、すぐにその震えるものを掴み引っ張り出した。 それは一見手元のデバイスに見えた。 しかし手軽な大きさに液晶画面という点は同じでも、その他の細部がデバイスとは違った。 機械なのは明らかだが、セイバーは幸村と違い現代のある程度の知識を聖杯によって与えられている。 時代錯誤な感覚に陥る事はない。 「せいばあ殿!そ、その奇怪な振動を放つ物体は一体!!」 「さっき説明したデバイスと似たようなものです。どうやら機能は違うようですが。 む。これが説明書でしょうか」 セイバーが機械の裏にセロハンテープでくっつけられていた説明書に目を移動させた瞬間、 機械の液晶が自動的に輝きだした。どうやら電源が自動的に入る機能のようだ。 「せ、せいばあ殿!」 「ユキムラ、落ち着いてほしい。気持ちは分かりますが、これは『そういうものだ』と割り切った方がいい。 それより……」 画面には【1日目午前0:00~午前6:00】という文字が現れた。 それが程なくして消えると、新たに画面に表示されたのは2つの画像。 「これは……」 それは2人の少女の顔写真だった。それが左右に置かれ、その間を線が遮り境界を作っている。 そしてその写真の上にはそれぞれ3文字分のスペースがあった。 左の少女の上には【死亡者】。 そして右の少女の上には、二人とも一瞬眉をひそめる名称があった。 その名称は――【おくりびと】。 ****** 「悪い。セイバー、幸村。 僕ちょっとトイレ」 程なくして近づいてきた阿良々木を含めた3人が機械の情報を全て見終わった後、彼はそう言い出した。 二人の答えも得ずに立ち上がる阿良々木にセイバーが声をかけた。 「待ってください。コヨミ。 なぜデイパックまで持っていく?」 「もし誰か襲ってきたら大変だろ?大丈夫だって。 そんなことになったら2人を巻き込みやしないさ。僕1人でここから逃げ切る」 「そ、そんな阿良々木殿!」 そうやって突っぱねる阿良々木にセイバーは追い討ちをかけた。 「コヨミ。まさか貴方」 「1人で行きやしないって。危ないじゃないか、そんなの」 「貴女を1人にさせるわけには」 「セイバー……僕は女の子と同じトイレ入るのはちょっと」 「…………」 「こわっ!セイバーこわっ!!大丈夫、大丈夫だから!」 色々誤魔化しながら阿良々木はトイレのある方へと走っていった。 それを見守るセイバーに幸村は話を変えたいのか叫んだ。 「しかしせいばあ殿!この情報さえあれば天下無敵! これがあれば危険人物は一目瞭然ですぞ!!」 機械を手にして振りながら幸村はそう言った。 確かに機械からは多くの情報が手に入った。 死亡した人物全員の顔写真。その中には幸村の知る片倉や阿良々木の知る千石撫子の顔もあった。 そして、それに対応する【おくりびと】の顔写真。 だが、そんな幸村にセイバーは冷ややかな視線を向ける。 「ユキムラ。もしコヨミの前でそんなことを言っていたら大変な事になっていたと私は思います」 「な、何ゆえでござるか! この【おくりびと】とは、つまりは下手人ではござらんか! せいばー殿がそう言ったのでは!」 「ユキムラ……私はそんなことは言っていません」 どうやら彼は解釈を間違えているらしい、とセイバーはため息をついた。 確かにそういう解釈もできるが、彼にはちゃんと説明しなければいけないらしい。 「ユキムラ。この説明書に書かれている【おくりびと】の定義。それは 『死亡者の死亡した瞬間、最も近くにいたその時点での生存者』です。 ここまでは理解できていますか?」 「わかっておりまする! つまり! その者を切り捨てた者はその瞬間目の前にいる! つまり、【おくりびと】とは下手人のことでござろう!」 セイバーは激しく嘆息し頭を抑えた。 真田幸村。 戦国の武将ということから、最初は英霊とも考えたが、それならばクラス名で上げられるはずだしそもそもそういった気配を彼からは感じない。 というわけで却下したのだが、どうもそれは正しかったかもしれない。これほどの猪なものが武将を務めていられたのだろうかと疑問に思うのは 騎士王として仕方ない考えだろう。 「いいですかユキムラ。 もし貴方が同行していたスザク。もしもあなたと彼が一緒にいる時に彼が遙か彼方から撃たれて死亡したら、彼の近くにいるのは誰ですか?」 「某でござる!」 「…………では彼を殺したのは?」 「当然、狙撃した下手人!!」 「…………では貴方はその下手人なのですか?」 「何をわけのわからぬことを! 某が枢木殿を殺すなど……………………………………おおっ!?」 「ものすごく間が空きましたが、わかったようですね」 「つ、つまり……共にいた者という可能性があると?」 確かに普通に考えれば、死んだ瞬間に1番近くにいた人物とはその人間を殺害した者だという可能性は高いだろう。 しかし、狙撃によって殺害者が離れていてかつその近く他の者がいたならば……その人間が【おくりびと】となる。つまり冤罪だ。 「それに、襲撃者は必ずしも2人組の両方を殺すとも限らない。1人だけ殺して離脱。 その1人をもう1人でその死を見とったならば、その人物も【おくりびと】になります。 ユキムラ。【おくりびと】は必ずしも殺人者だとは限りません」 「う、むむむむ! しかし、そうなると…」 幸村は手元のメモを見た。そこには表示されていた【おくりびと】の中から死亡者の方に顔があった3人を除いた10人の顔の特徴が書かれていた。 死亡者が14人なのに数が足りないのは、重複していたのが2人いたからだ。 書いたのはセイバーで、幸村がわかりやすい言葉にするのにかなり苦労したのが伺える。ちなみにこれは阿良々木、セイバーも同じメモを持っている。 メモの内容(幸村版)は以下の通り。 黒肌の巨漢<ばあさあかあ>(二人分)『気高さを感じる少女、桃髪の童女』 白髪に黒服の少年?『ぷりしら』 紫髪に目隠しの女<らいだあ>『片倉小十郎』 茶髪を纏めた少女<平沢憂>(二人分)『髪を真ん中で分けた少女、眼鏡に太めな男』 前髪の長い男『髪を二つに分けた黒髪の少女』 額が広い少女『めがねをかけた短髪の男』 髪を二つに纏めた少女<八九寺真宵>『鼻に染みのある老人』 緑髪に長い髪の女『茶色の短髪の少女』 太眉の少女『千石撫子』 顔写真だけなので当然名前はわからない。 だが、それでもわかる人物はいた。 セイバーが2人を、阿良々木が2人を知っていた。ただし2人ともそれに気づいた時には苦い顔をしていた。それぞれその意味合いは違っていたが。 ちなみに、これは余談だが。 もしも枢木スザクがC.C.について、両儀式が荒耶宗蓮について細かい素性、外見までも話していたなら。 もしも阿良々木暦が平沢憂から姉の友人情報まで聞きだしていたなら。1人を除いた【おくりびと】全員の名前が特定できたのだが―――これはありえたifでしかない。 「どの者も、下手人のようにも思えるし……いや、しかしもし同行していただけの罪なき者ならば……いやいや、しかしそのようなことはむしろ少ないのでは……。 う、うぐぐぐぐぐぐぐ」 「ユキムラ。頭から煙が出そうに見えます」 それも仕方ない。 セイバーはむしろ、これこそがこれを支給した帝愛の意図だと思っている。 もしもこの【おくりびと】が同行者なのか、それとも下手人なのかわからないということを知ってしまえば――情報を知った人物の【おくりびと】への 判定はグレーゾーンになる。 一見黒と見なせないだけマシに見えるだろうが、そうではない。 もし自分が知る、自分が信用できる人物がいたとして。もしその人物について何の情報もなければ自分はそれを白と判断していられる。 だがもしそれが【おくりびと】となっていたら。 白と思えたはずの判定はグレーになってしまう。 これこそがこの機械の毒。 「ううう。しかしせいばあ殿! 少なくとも片倉殿の【おくりびと】であるこのらいだあ!こやつはほぼ間違いなく下手人と見てよいというのは真でござるか?」 「ええ。彼女が人間と共に行動するとはあまり思えない。おそらくコジュウロウは彼女の餌にされたのでしょう」 「ぐうう!許すまじらいだあ!このばあさあかあもまた許せぬ! 聞けば理性もなく荒れ狂う獣のような男!しかもその相手はどちらも女子供! このような男、この真田源次郎幸村、捨て置けぬ! 必ずやばあさあかあは某が討ち果たしてみせましょうぞ!」 「気をつけてください。バーサーカーは」 「1回では倒せぬというのでござろう!1度で駄目ならば10度!10度で駄目ならば100度討ち果たす! それこそが某の戦いでござる!」 いや、それでは駄目なのだが……とセイバーは言おうとして口を閉ざした。 ついサーヴァントについて話しすぎてしまった。 幸村はともかく阿良々木がその話に特に突っ込んでこなかったのは幸いか。 いや、恐らく……それどころではなかったのだろう。 「そしてこの白髪の者!ぷりしら殿を殺したのはおそらくはこの者! 某の勘が、この者から凶悪な気配を感じているでござる! 髪の色もあの明智光秀と同色!怪しい、とても怪しい! せいばあ殿!この者には最大の警戒をしたほうがいいですぞ!」 「…………」 (私もプリシラの【おくりびと】を見たときは動揺しましたが……。 プリシラ、すまない。 私が留守を任せたばかりに貴方を死なせてしまった。 ですが、貴方の言葉で私は決意する事ができた。 貴女が遺したものは、ここにある。 ですから、どうか眠っていてください。あなたの無念は必ず晴らします。 白髪の少年(多分)………もし彼がプリシラを殺害したのなら、その時は) そしてセイバーは視線をトイレの方へやった。 おそらく彼の精神状態は尋常なものではない。 千石撫子の死すら彼の精神を揺るがしたというのに。 彼が逃した平沢憂は、前後はわからないが2人の【おくりびと】だった。 彼の知る八九寺真宵は、ある老人の【おくりびと】だった。 死んだ千石撫子は見知らぬ少女の【おくりびと】でもあった。 そして彼は……千石撫子の【おくりびと】の顔を知った。 【おくりびと】による毒。 それを1番その身に受けているのは、間違いなく阿良々木暦だ。 彼が果たしてトイレで何を考えているのか。 もしかしたら、自分1人だけでどこかに行こうとしているのかもしれない。 そうだとしたらその目的は友人達を捜す為か。それとも―――撫子の【おくりびと】を捜すためか。 (コヨミ………どうか、先走らないでください) 彼女はどうか、彼の蒼い炎が暗く燃え上がらないことを願った。 【D-6/駅・トイレ?/1日目/朝】 【阿良々木暦@化物語】 [状態]:疲労(小) [服装]:直江津高校男子制服 [装備]:なし [道具]:デイパック、支給品一式、ギー太@けいおん!、エトペン@咲-Saki-、ゲコ太のストラップ@とある魔術の禁書目録、 スコップ@現実(会場調達) 竹箒@現実(会場調達) 、トラウィスカルパンテクウトリの槍@とある魔術の禁書目録、 スクール水着@化物語、【第1回放送までのおくりびと】のメモ [思考] 誰も殺させないし殺さないでゲームから脱出。 基本:知り合いと合流、保護する。 1:??? 2:戦場ヶ原、八九寺、神原と合流したい。他にも知り合いがいるならそれも探す。 3:憂の姉を見つけたら、憂の下に連れて行く。 4:……死んだあの子の言っていた「家族」も出来れば助けてあげたい。 5:支給品をそれぞれ持ち主(もしくはその関係者)に会えれば渡す。 6:千石……八九寺…… 7:太眉の少女については……? [備考] ※アニメ最終回(12話)終了後よりの参戦です。 ※回復力は制限されていませんが、時間経過により低下します。 【D-6/駅構内/1日目/朝】 【セイバー@Fate/stay night】 [状態]:健康、魔力消費(小) [服装]:普段着(白のシャツに青いロングスカート) [装備]:七天七刀@とある魔術の禁書目録 [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~1(未確認)、死亡者・おくりびと表示端末、【第1回放送までのおくりびと】のメモ [思考] 基本:人々を守る。 1:上記の『望み』を実行する傍ら、自分のなすべきことを一から考え直す。 2:駅を訪れる人物を見定める。危険人物が乗り込んでくるようなら、率先して対処。暦をフォローするか? 3:【おくりびと】に関しては慎重に判断する。特に白髪の少年。ただしライダー、バーサーカー、憂は危険人物とほぼ断定。 4:士朗ともう一度話がしたい。 5:明智光秀、織田信長、ライダー、バーサーカーの4名を倒す。 [備考] ※参戦時期はアニメ20話途中、士郎との喧嘩直後から。 ※千石撫子、八九寺真宵について情報を知りました。具体的な内容は後続の書き手に任せます。 【真田幸村@戦国BASARA】 [状態]:健康、右手に軽い打撲(治療済み) [服装]:普段通りの格好(六文銭の家紋が入った赤いライダースジャケット、具足、赤いハチマキ、首に六文銭) [装備]:物干し竿(ステンレス製)×2@現実 [道具]:基本支給品一式(救急セットの包帯を少量消費)、ランダム支給品0~1(確認済み) [思考] 基本:『ばとるろわいある』なるもの、某は承服できぬ! 1:武田信玄のことは何があろうと守る。 2:『敵のあじと』に乗り込む……ためにも、今は我慢。デュオと式、スザクの帰りを待つ。 2:怪我をしている伊達政宗、名簿に記載されていない参加者の中にいるかもしれない知り合い、 ルルーシュとC.C.を捜す。 2:主催を倒し、人質を救い出す。 2:これは戦ではないので、生きる為の自衛はするが、自分から参加者に戦いを挑むことはしない。 2:争いを望まない者は守る。 2:織田信長と明智光秀は倒す。 2:あらあら殿とせいばあ殿の御身は、某が守り通す! 2:『えき』に近づく輩は、この真田幸村が成敗いたす! 2:明智光秀、織田信長、らいだあ、ばあさあかあの4名を倒す。 ※武田信玄が最優先であること以外、本人には優先順位をつけるという発想がありません。矛盾もありますが気づいていません。 [備考] ※長篠の戦い後~武田信玄が明智光秀に討たれる前の時期から参戦。 ※MAPに載っている知らない施設のうち、スザクにわかる施設に関しては教えてもらいました。 ※スザクとルルーシュのことを、自分と武田信玄のような主従関係だと勝手に思い込んでいます ※バーサーカーやライダーについて情報を知りました。 【死亡者・おくりびと表示端末@オリジナル】 セイバーに支給。 放送終了後に端末に情報が配信、更新される。 その放送で発表された6時間分の死亡者とその死亡者の死亡した瞬間、最も近くにいた人物【おくりびと】の顔写真のみが並んで表示される。 写っている範囲は顔は間違いなく写るが、下の範囲がどこまで写るかは不明。 キーを押すことで次の死亡者に画面が切り替わる。 表示される順番は配信時にランダム決定、以後固定。これは死亡順番で名前を推定されたり名前順で特定されるのを防ぐためである。 第1回放送までの死亡者、おくりびとの対応、表示順番は以下の通り。 死亡者/おくりびと 竹井久/中野梓 リリーナ・ドーリアン/バーサーカー(殺害者織田信長は射撃、かつリリーナを掴んでいたのがバーサーカーの為) 加治木ゆみ/千石撫子(殺害者藤乃が撫子たちより離れていたため) プリシラ/一方通行 片倉小十郎/ライダー 池田華菜/平沢憂 中野梓/荒耶宗蓮 カギ爪の男/安藤守 玄霧皐月/田井中律(レイの殺害方法が狙撃だった為) 月詠小萌/バーサーカー 安藤守/平沢憂 兵藤和尊/八九寺真宵(アジトの中に誰もおらず、1番近かった参加者がアジトより南を進んでいた八九寺真宵、伊藤開司だったため) 御坂美琴/C.C. 千石撫子/琴吹紬 時系列順で読む Back とある死神の≪接触遭遇(エンカウント)≫ Next ひとりにひとつ 投下順で読む Back とある死神の≪接触遭遇(エンカウント)≫ Next ひとりにひとつ 100 三人コミュニケーション 阿良々木暦 129 からまりからまわり 100 三人コミュニケーション セイバー 134 幸村ああああああああああああああっ!!(前編) 100 三人コミュニケーション 真田幸村 134 幸村ああああああああああああああっ!!(前編)
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届かなかった言葉 ◆Wf0eUCE.vg どんな世界でも明けない夜はないように、この殺し合いの舞台にも朝は訪れる。 爽やかな朝の陽ざしが美しい銀髪を輝かせ、吹く風が頬を撫ぜる。 武将、明智光秀は優雅な朝の散歩を鼻歌交じりに満喫していた。 光秀は朝の空気を確かめるように、大きく息を肺に吸い込む。 霞かかった空気もどこか心地よく感じられるようだ。 光秀にとってはいつも通りの爽やかな朝の風景である。 おかしな点などどこにもない。 ただ、強いておかしな点を挙げるとしたならば。 周囲に霞を張るのが、朝露ではなく赤い血飛沫であるということ。 辺りに響くBGMが小鳥の囀りではなく少女の悲鳴であるということ。 そして、血まみれの少女が逃げ惑っているということくらいだろう。 彼にとっての当たり前。 彼女にとっての惨劇悲劇。 ■ プリシラは逃げる。 戦うなどという選択肢はなかった。 彼女は優秀なヨロイ鎧乗りである。 曲芸染みたこともできるくらいには運動神経はいいほうだし、何よりトレースシステムを搭載しているブラウニーを操作する身体能力はなかなかのものだ。 だが、生身での戦闘経験などないし、何より最初に受けた腹部の傷が致命的だった。 いや、たとえ万全であったとしてもこの男には遠く及ばないだろう。 「さぁお逃げなさい! さもなくば死に追いつかれてしまいますよ」 言われずとも、プリシラは必至で足を動かしているが、優雅なまでに怠慢な動きの相手をまるで振りきれない。 まるで、自分の体ではないような違和感。 腹部の傷が深すぎて思うようにいかないのだ。 そんなプリシラの様子を嗤いながら光秀が右腕を振るう。 朝日を照り返し銀光が揺らめく。 プリシラの背から飛沫のような朱が舞った。 「これですよ、この血飛沫の色! 私が飢えていた、朱の色!」 光秀は避けるでもなく、真正面からシャワーのように血飛沫を浴びる。 その感触に愉悦に身を震わせ、光秀は踊るように身をくねらせた。 光秀がプリシラを殺すのはハッキリ言って容易い。 それだけのハッキリとした力量差がそこにはある。 だが、光秀はそれをしない。 より長くこの一時を愉しむために。 より長くこの彼女の命を愉しむために。 もはやこれは戦闘ではない。虐殺でもない。 光秀の血と肉の飢えを足すためのただの儀式だ。 故に、彼女は、ただの供物。 「ほぅら、足元がお留守ですよ」 プリシラの足に灼熱が奔った。 ドサリと無様にその場に倒れこむ。 足の腱が断ち切られた、逃げるどころか、もう立ち上がることも叶わない。 噎せ返る様な鉄の臭いが充満し、光秀の鼻孔をくすぐる。 死神が恍惚の表情を浮かべながらブルリと身を震わせた。 「脳髄まで痺れるような芳しい血の香り、ああ……愉しい愉しい、私は愉しい!!」 叫びながら、切り刻む。 倒れこんだプリシラの髪を皮膚を肉を神経を斬って斬って切り刻む。 死なないよう、ギリギリのラインを探るように。 「ッ…………ぁあ……!」 嗚咽の様な声がプリシラの喉奥から漏れた。 腹部からは命が赤い液体となって流れている。 熱い水が流れ出るたび体温が失われ、消えていく。 冷たい冷たい死が迫っていた。 「いいですねぇ。苦痛に喘ぐその表情、生きようともがくその執念。 あぁ堪りません、獲物を追い詰めるのは実に愉しい! 殺し合いとはまた別格の趣があります。なんて愉しい、殺したくない!」 光秀が叫ぶ。 その不愉快な声もプリシラの耳にはどこか遠くに聞こえた。 目が霞む、もう辺りに何があるのかもよくわからない。 痛みが和らいでいく代償に、感覚自体が消えていく。 意識にも霞がかかってきた。 白とも黒ともつかない何かに、思考が侵食される。 それでも、 死にたくない。 心の底からそう思った。 ヨアンナが、孤児院のみんなが待ってるのに。 私が子供たちを守らなくちゃいけないのに。 こんなところで、死ぬわけにはいかないのに。 なけなしの意識を振り絞り、ギリと歯を食いしばる。 死にたくないから逃げる。 いつだって理由は単純だ。 足は動かないから、地面を這って進んでいく。 その道のりに赤い道を造りながら。 ヴァン。 ヴァン。 ヴァン! 心の中に浮かんだ名を叫び続けた。 やっと再会したばかりだったのに。 まだ伝えてないことが沢山あるのに。 声に出したい想いは沢山あるのに。 言葉にならない声はどこにも届かない。 背後には、黒いタキシードの男ではなく、白い死神が迫っていた。 ■ 探るように音の確認していた一方通行が目を見開く。 それが確認終了の合図であると悟り、ゼクスはすかさず問いかけた。 「何が聞こえた一方通行?」 ゼクスの問いに、一方通行は舌を打って答える。 「チィッ。さっきのバカ女の悲鳴だ。 あの女ァ。とンだガキの使いだったみてェだなァ!」 そう悪態をつくと、一方通行は足裏に能力を展開し、跳ぶように駆け出した。 音の方向から位置は特定できる。 距離は多少あるが、能力を使って加速すれば、そうは時間はかからない。 「待て、一人で動くな一方通行! 行くのなら私も共に、」 後方から静止をかけるゼクスの声を無視して一方通行はさらに前へと進む。 一方通行もゼクスが足手まといになるとは思わないが。 聞こえた声の様子からして、ゼクスの歩調に合わせれられるほど余裕はなさそうだ。 「スグに終わらせるからよォ! そこで大人しく待ってろゼクス!」 後方のゼクスにそう告げると、一方通行は疾風の如く駆け抜けた。 その背は一瞬で小さくなり、あっという間に目で追えない場所へと消えていった。 「……まったく、場所も告げずに駆け出されてはな。 これでは追うことも、合流の仕様もない」 それを見送り、取り残されたゼクス・マーキスは一人ごちた。 ゼクスとしてもあとを追いたいのは山々だったのだが、駆けだした一方通行の速度は人間の足で追っていけるものはなかった。 一方通行の後を追って結果、すれ違いになっては本末転倒である。 先程プリシラに同じ注意をした手前、うかつに動くわけにもいかない。 ここは一方通行を信じて待つのがベストだろう。 とはいえ、彼に限って心配はいらないとは思うが、時間制限がある以上、不安は残る。 それ以前に彼が素直に自分のもとに戻ってくれるという保証もないのだが、それを含めて信頼するほかない。 だが、いつまでも待ちぼうけをしているわけにもいかないのも事実だ。 もう時期、最初の放送の時刻である。 それまではここで待ち、放送を終えても一方通行が戻らなかった場合に方針を決めよう。 彼を探すのか。 この場での合流を諦め、別の場所へ向かうのか。 最悪、第三放送まで無事でいれば合流できるはずである。 そう考えてゼクスは静かに一方通行の帰りを待った。 【D-6/デパート/一日目/早朝】 【ゼクス・マーキス@新機動戦記ガンダムW】 [状態]:健康 [服装]:軍服 [装備]:真田幸村の槍×2 [道具]:基本支給品一式 [思考] 0:一方通行を待つ。第一放送までに戻らなければ別の方針を決めるく 1:リリーナを探す 2:一方通行を…… 3:第三回放送の前後に『E-3 象の像』にて、一度信頼出来る人間同士で集まる [備考] 学園都市、および能力者について情報を得ました。 MSが支給されている可能性を考えています。 主催者が飛行船を飛ばしていることを知りました。 ■ 「ん?」 プリシラの苦悶の様を上機嫌で鑑賞する光秀が何かに気付き動きを止めた。 直後、突風が吹いた。 惨劇の間に彗星ようにその場に現れたのは狂ったように白く、歪んだように白く、澱んだように白い影。 学園都市最強の超能力者、一方通行である。 急停止した一方通行はちらりと光秀を一瞥する。 その口元に浮かぶのは薄気味悪い笑み。 見たところで嫌悪感しか浮かばない。 一方通行は早々に光秀から眼を反らし、足もとに視線を移した。 地面に引かれた赤い道筋をたどれば、そこには縋り付くように地面を這いずるプリシラの姿があった。 その目の焦点はあっておらず、見えてもいないのか、一方通行の到着に気づく様子もない。 もはやまともな意識があるかも怪しいところだ。 どう見ても死ぬ直前。 誰が見ても手遅れだった。 「悪ィな。俺はお前を助けねェ」 そんな彼女に向けて、一方通行はそう告げた。 助けられないのではなく助けない。 彼女に聞き取れるだけの意識があるかは不明だが、残酷なまでの最後通告だった。 一方通行の能力であるベクトル操作を使えばプリシラの延命は可能だ。 血流を操作すれば破れた血管の代りを果たすこともできるし 生体電気を操作すれば心肺機能の強化し生命活動の維持を補佐することもできる。 だが、それも気休めにしかならない。 普段ならともかく、能力に制限時間がある以上、延命できて15分。 それまでに奇跡的な治癒方法を探せるとは思わないし、『冥土返し』のような名医に都合よく巡り合えるとも思えない。 そんな奇跡に期待するほどロマンチストでもない。 救えない命に執着して限られた能力を浪費するほと感傷的な性格でもない。 あの無能力者(レベル0)ならどうしただろうか。 ふと、一方通行はそんなどうでもいい事を思った。 「み……、…ヴ………ァ…………。」 プリシラの口から掠れた呟きが漏れた。 だが、それまでだ。 それ以上は、パクパクとプリシラの口が動くばかりで、声は言葉になりきれず消えていく 呟きは風に流される。 誰の耳にも届かない。 届かない声。 伝わらなかった言葉。 それだけを残して、少女の命の炎が消えた。 一方通行はプリシラに背を向けたまま、ただその気配だけを感じていた。 「おや? もう死んでしまわれたのですか、もったいない。 もう少し愉しみたかったのですが。やはり脆いですね、人間というのは。 まぁいいでしょう。次の獲物が自ら来てくれた。 んふふふ。愉しみですねぇ。貴方は一体どんな味がするのでしょうか?」 光秀は嗤う。 少女の死なぞ気に留めず、次の期待に胸を躍らせながら長い舌を伸ばし血色の悪い薄紫の唇を舐めずる。 スンスンと光秀が鼻をならす。 「あぁ、血の臭いがしますね。貴方からは私と同じ拭いようのない大量の血と臓物の臭いが。 んふふふ。こんな場所で貴方の様な同類に逢えるだなんて夢のようだ。 貴方も私と愉しみましょう、夢のように愉しい殺し合いを!」」 鋭敏な光秀の嗅覚がその臭いを感じ取った。 辺りに漂うプリシラの血の臭いではない。 一方通行から感じ取れるこの臭いは被害者のそれではない。 加害者のそれだ。 一方通行にしみ込んだ、拭いようない殺人者の匂い。 自分と同じ血と臓物を好む畜生外道の匂い。 美しく光る白銀の髪。 血溜まりの様な真紅の瞳。 不健康なまでの白い肌。 そして身に染みついた血の臭い。 闇の世界に生きるどうしようもない悪党。 光秀の言うとおり、対峙する二人はどこまでも似通っていた。 「はン。テメェ何ぞと一緒にすンなよ、三下」 だが違うと、一方通行はそれを否定する。 「確かに俺もお前もクソったれの悪党だろうよ。今さら綺麗事をほざくつもりもねェ」 一方通行は正義の味方でも何でもない。 実験のためとはいえ一万人の妹達(シスターズ)を虐殺した殺人者だ。 そんな男が、少女の悲鳴を聞きつけ駆け付ける事自体がそもそもオカシイ。 どんな状況でも都合よく駆けつけて全てを救う。 そんなのは正義の味方のやる事だ。 「けどな、それがこいつが殺されていい理由にはなんねェだろうがァ! 俺とお前がクズだってことが、誰かを傷つけていい理由にはなンねェんだよ!」 正義でなくとも。 悪党であろうとも。 それが誰かを見殺しにしていい理由にはならない。 プリシラは表に生きる人間だった。 光の世界に生きる人間が闇の世界に生きる人間の喰い物にされる。 それが一方通行には気に食わない。 「テメェが『あいつ』の脅威になるかもしれないってンならよォ」 一方通行が能力を解放する。 これまで部分的にしか使用していなかった能力の制限を解き、膜を張るように全身に能力を張りめぐらせる。 相手が光を食らう闇ならば。 一方通行は闇を食らい続ける悪になる。 慈悲もなく、容赦もなく、寛容もなく、更生の機会すら与えず。 理に適ってるって理由だけで、迷わず武器をとり凶漢をブチ殺す。 そんなのは善人じゃない、似たような悪党だ。 そして、一方通行はそれでいい。 守りたいものを守るためならば、敵対するものを容赦なくぶち殺し。 必要とあらば善人であろうと容赦なく切り捨て。 必要ならば守りたい相手とすら敵対する。 それが悪党としての一方通行の生き方だ。 「この場でさくっとブチ殺してやンよォ―――――三下ァ!!」 ゴバッ!! と爆発音じみた音を立て、一方通行が地面を踏みつけた。 たった一歩の踏み込みで一方通行の体は弾丸の如く加速する。 愛鎌、桜舞を構え、迎え撃つ光秀。 飛来する一方通行の勢いは確かに速い。 だが、その程度の動きを戦国の世を生きる武将が一人、明智光秀が捉えきれないはずもない。 向かい来る一方通行は、斬って下さいと言わんばかりの正面突破。 獲物の首を眼前に差し出され、堪え切れる光秀ではない。 「お望みとあらばッ!!」 応えるように死神の鎌が揺らめいた。 かつて甲斐の虎すら打ち取った必殺の一撃が一方通行の白い頭を赤い柘榴に裂かんと振り下ろされる。 前方に突撃する一方通行には避けようのないタイミングである。 そもそも光秀の放った一撃を避ける技量は一方通行には存在しない。 いや、それ以前に、避ける必要性自体がないのだが。 「な………………っ?」 戸惑いの声は光秀の喉から漏れた。 一方通行の頭部に振り下ろしたはずの鎌の穂先が真上へと跳ね上がった。 防がれたというより弾かれた。 弾かれたというより跳ね返された。 直撃したはずの一撃が防御や回避ではない別の何かによって防がれた。 理解の埒外。 不可解極まりない現象だ。 光秀の知る以外の何か。 まるで妖術や何かの類である。 これこそが異能。 これこそが超能力。 超能力開発を目的として設立された学園都市、最凶にして最強の超能力者(レベル5)、一方通行。 その能力はベクトル操作。 この世界のあらゆる物理法則を繰る超能力である。 全身に張り目がらされたその力は、あらゆるベクトルを”反射”する。 いかに強力な一撃であろうとも単純な物理攻撃が一方通行を捉えられるはずもない。 制限下でなければ、たとえ核兵器が直撃しようとも、彼はかすり傷一つ負うことはない。 「無様にスッ飛ンでろォ、三下ァ!」 強引に光秀の懐に飛び込んだ一方通行が無造作に足を振り上げる。 鍛錬を積んだ武術家のような洗練された動きではない。単純で直線的な素人の蹴りだ。 だが、その素人の一撃は彼の能力、ベクトル操作によって一転。 凶悪な破壊力を秘めた必殺の一撃へと昇華される。 蹴りにより発生する衝撃を一点に集中、さらにそれを敵を穿つように加速させる。 攻撃を跳ね上げられ体制の崩れた光秀にその一撃は避けられない。 それでも咄嗟に腕を十字にクロスさせ光秀は蹴り足を受け止める。 蹴りを受けた腕の骨がミシミシと軋みをあげた。 衝撃までは殺しきれない。 堪え切れず、光秀の体が空高く宙を舞った。 それを追って、一方通行が地面を蹴り跳躍する。 脚力のベクトル変化だけではない。 風を操り暴風を更なる推進力として、天高く舞い上がるロケットの如く一方通行の体が打ち出させた。 「…………甘いですねッ!」 それを視界の端で確認した光秀が目を見開く。 光秀は体勢を立て直すのではなく、グルンとしなやかに身をよじり、体を軸に鎌で円を描くように空中で回転した。 空中にて振りぬかれた桜舞が半月のような弧を描く。 死神の鎌が狙う獲物は当然の如く一方通行の首一つ。 それは自らの落下速度、一方通行の上昇速度まで計算に入れた完璧なタイミングの一撃である。 この状況と体勢で正確に首を狩りに行く執念と技量は驚嘆に値する。 だが、 一方通行の首元に触れた瞬間、刃の勢いは”反射”される。 放たれた威力をそのままに。 否、それ以上のベクトルを付加して、衝撃を使い手に反転する。 「くぅ…………っ!」 すさまじい衝撃が光秀の手首に圧し掛かる 光秀は刹那の判断で桜舞を握る腕から力を抜き、その衝撃を桜舞へと一任する。 衝撃を流された桜舞が明後日の方向へと弾き飛んだ。 だが、その判断は正しい。 あとコンマ1秒手を離すのが遅れていたら光秀の手首はへし折れていただろう 難を逃れ、息をついたのも束の間、 遥か空を見上げた光秀の眼前には、固く握りしめた拳を振り上げる一方通行の姿が。 叩きつけるように振り下ろされた拳が、光秀の腹部直撃する。 降り注ぐ隕石の如き勢いで光秀が地上に向かって墜落した。 遅れてかち割られた鎧の破片がパラパラと宙を舞った。 地を震わす轟音。 大量の砂埃が巻き上がり、落下点を中心に小さなクレーターが生み出される。 都合二発で文字通り相手を沈めた一方通行は、光秀とは対象的に落下のベクトルを操作し音もなく地面に着地する。 その実力は圧倒的だった。 一方通行には傷一つない。 様々な能力者が犇めく学園都市で頂点を極めるその実力は伊達ではない。 だが、 「…………ンフフフ」 様々な兵の蠢き覇を狙う、戦国の世を生きるこの男も、当然の如くこれで終わりなはずもない。 「フフフフフフ。ハハハ、フハハハフフハハハハハハハハハハハハハハハハハ! クククク、フヒヒヒ、ウフフフ、フハハハハハ。ンフフフフフウフフウフフ!! ウフフフフ。アヒャヒャ、クフフフフフフ。クケケケ。ウハハ、ウッフッフ!!! フハフハ。ウフフウフフフ。ンフフフ、フフフハハウフフ。アッーハハハハ!!!!」 砂ぼこりの奥から嗤い声が響いた。 聞く者に怖気と不快感をもたらすような、粘ついた嗤い声が。 「――――――――素晴らしい」 風が吹き、砂埃が晴れる。 その先に見えたのは全身にぶちまけられた誰のものともつかない赤に病的なまでに白い肌。 そこには鎧を砕かれ上半身裸で両腕を広げた、血濡れの白い死神が立っていた。 「素晴らしい!! 素晴らしいですよ貴方! あぁッ! 痛い! 痛い! 私、このままでは達してしまいそうです!」 頭部からドクドクと血を流しながらゾクゾクと身を震わせ光秀は歓喜に喘ぐ。 自らの負傷を一切に気にする様子は一切ない。 むしろ痛みを愉しむように嗤いながら喘ぎながら身をくねらす。 「……………………」 「きゃん…………!」 そんな光秀めがけ、一方通行は無言で足もとの小石を蹴っ飛ばした。 特に意味はない。 強いて言えば、近づきたくない程度に気持ち悪かったからだ。 気にするでもなく、光秀は投石によって仰け反った上半身を体のしなりで跳ね起こす。 「うふふふ。痛い、痛いですねぇ! あぁ……この痛みを、もっともっともっと味わいたいところなのですが、ここは引いておきましょう。 弾き飛ばされた桜舞も探さなくてはならないし、貴方を味わうのはもう少し後、前菜を食らい尽くしてからにいたしましょう」 そう言って光秀は後方に跳んだ。 その動きに負傷による鈍りは感じられない。 むしろ生き生きとしているようにも感じられる 「私は明智光秀と申します。貴方のお名前をお尋ねしてもよろしいですか?」 「あァ? 逃げられると思ってンのか? これからくたばる野郎に、ンなもん答えても意味がねェだろうがァ」 そう言って、光秀にとどめを刺すべく、一方通行が地面を蹴り出した。 「ッ!?」 だが、加速は生まれず、代りに一方通行の膝がガクンと崩れた。 「おや? そちらもそちらで何か事情が御有りの様だ。 それではまた相見えましょう、貴公とはまた会えると確信しております。 その時は互いに万全であることを祈っていますよ」 そう言って明智光秀はその場から姿を消した。 それを忌々しげに見送った一方通行は、チッと舌を打ちながら体勢を立て直した。 彼が膝を崩した理由は明快、踏み込んだ感触が想定値とあまりにも食い違ったから。 有体に言うと、能力の使用制限時間が切れたのである。 一方通行自身は確認できないが彼の首輪は既に――使用不可能――赤を示していた。 「冗談じゃねェぞ、早過ぎンだろ、クソッ」 移動を含めたとしても15分には達していない。 能力の消費が予想以上に早すぎる。 全力展開すれば一分と経たず燃料切れ。 普段無意識に行っている全身展開でも五分と持たない。 とはいえ、部分展開では今回の様な無茶な戦い方はできないだろう。 これはいよいよ本気で効率のいい能力の運用を考えなければならないようだ。 ふと視線を落とせば、事切れたプリシラが目に映った。 天真爛漫だった少女の面影はそこにはない。 美しかった桃色の髪は乱雑に切り刻まれ。 白く健康的だった肌は血の気が引き青白く染まっていた。 別に無惨な死体は見慣れてるし、それ自体に嫌悪も思うところもないのだが。 「チッ…………面倒なもンを預かっちまった」 そう、一方通行は悪態をついた。 プリシラが事切れる直前に呟いた言葉にすらなりきれない声。 彼の能力ならば、あの瞬間に限定して彼女の喉の震えに集中すれば、声にならない声を聴きとることはそう難しいことではなかった。 声にならなかった言葉。 彼女の最後の言葉。 別にわざわざ相手を探しだして伝える義務もないし必要性も感じない。 が、たまたま、偶然、道中で会うことがあったなら、伝えてやってもいい。 その程度には思う。 一方通行の耳に届いた、届かなかった言葉を。 【プリシラ@ガン×ソード 死亡】 【残り53人】 【C-6/草原南東部/一日目/早朝】 【一方通行@とある魔術の禁書目録】 [状態]:健康 能力使用不可能 [服装]:私服 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、缶コーヒー×24、ランダム支給品×1(確認済み) [思考] 1:このゲームをぶっ壊す! 2:打ち止めを守る(※打ち止めはゲームに参加していません) 3:機会があればプリシラの遺言を伝える [備考] ※知り合いに関する情報を政宗、ゼクス、プリシラと交換済み。 『一方通行の能力制限について』 【制限は能力使用時間を連続で15分。再使用にはインターバル一時間】 【たとえ使用時間が残っていても、ある程度以上に強力な攻撃を使えば使用時間が短縮されます】 【今回の使用はあまりに過度の能力だったため、次からは制限される可能性があります】 ゼクスのいた世界について情報を得ました。 主催側で制限を調節できるのではないかと仮説を立てました。 飛行船は首輪・制限の制御を行っていると仮説を立てました。 ■ 「嬉しいですねぇ、愉しいですねぇ。 生きてきてこれほど嬉しいと思ったことはありません。 信長公以外にも私をコレほどまでに昂ぶらせる御馳走が沢山あるだなんて!」 次なる獲物を求めて光秀は野を駆ける。 信長公に出会うまでの口慰みとして、つまみ食いを繰り返してきたが。 なかなかどうして、この場にいるのは極上の獲物ばかりである。 死神の目を持つ少女。 獅子の気迫を持つ少女 自らの与り知らぬ力を操る少年。 はたしてこの舞台にはあとどれほどの魑魅魍魎が蠢いているのか。 「愉しみですね、想像しただけで私、気絶してしまいそうです!」 傷つけることも。 傷つけられることも。 殺すことも。 殺されることも。 生きることも。 死ぬことも。 全て等しく光秀にとっての愉悦である。 まただ見ぬ兵は何処や。 【C-6/北部/一日目/早朝】 【明智光秀@戦国BASARA】 [状態] ダメージ(大)疲労(中)ヘブン状態 [服装] 血まみれ、上半身裸 [装備] なし [道具] 基本支給品一式 、信長の大剣@戦国BASARA [思考] 1:一刻も早く信長公の下に参じ、頂点を極めた怒りと屈辱、苦悶を味わい尽くす。 2:信長公の怒りが頂点でない場合、様子を見て最も激怒させられるタイミングを見計らう。 3:途中つまみ食いできそうな人間や向かってくる者がいたら、前菜として頂く。 時系列順で読む Back (ふぁさっ)ひいっ! Next こよみパーティー 投下順で読む Back Only lonely girl Next 乗り損・エスポワール・スタンダード 076 結ンデ開イテ羅刹ト骸 一方通行 116 とある死神の≪接触遭遇(エンカウント)≫ 076 結ンデ開イテ羅刹ト骸 ゼクス・マーキス 121 Miriarudo―Le Petit Six Prince― 076 結ンデ開イテ羅刹ト骸 明智光秀 115 試練2/逃げ場なんて、無いかもよ(前編) 076 結ンデ開イテ羅刹ト骸 プリシラ GAME OVER
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47 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/17(日) 20 47 31 ID YbiTrU5Q 海原「あ、あの、妹Fさん?」 妹F「はい、なんでしょうか?とミサカは返事します」 海原「あっ、あ、あの時、あの別れ際の…ア、アレって…////」 妹F「あの時?別れ際?アレ?…一体何のことでしょうか?とミサカは疑問符を並べます」 海原「…えっ。あの時、ってつい最近のことですよ。ほら、カイジさんを誘拐した後から主催関係者の立ち入り規制が入るまでの間の」 妹F「?そんなことありましたっけ?とミサカ何も思い出せずにいます」 海原「えええっ!ど、どうしたんですか!?あ、あんなことしてきたのに忘れたんですか!?」 妹F「???」 R妹「それはですね、とミサカは説明好きのお姉さん役を買って出ます」 海原「な、なにかあったんですか!?」 R妹「私の記憶(記録?)のによりますと、妹達が死者スレから撤収した後リボンズ様が一部調整を行って感情の規制および記憶の改竄を行いました、とミサカは知られざる真実を語ります」 海原「え、えええええっ!!!」 【海原君を弄るのが大好き♪】 48 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/17(日) 22 24 42 ID lHFwsBhE C.C.「やれやれ、あのボーヤは相変わらず女運が無いようだな」 部長「海原君だもの、仕方ないわよ。 さて、上条君には何かご褒美をあげないとね」 上条「ご褒美?」 マリアンヌ「ほら、一発で本物の美琴ちゃんを当てたじゃない。 その賞品みたいなものよ」 上条「いや、今のは御坂から教えてくれたようなもんでしょ」 C.C.「(聞いてない)そうだな……美琴、お前がボーヤの彼女になるというのはどうだ?」 美琴「へ? ちょ、ちょっ、何でそんな話になるのよ!!?///」 マリアンヌ「あら、案外お似合いじゃないかしら?」 美穂子「いい考えだと思います。 ねえ、上埜さん」ニコニコ 部長「そうよねえ、美穂子」ニヤニヤ 上条「ちょっと待ったぁ!! お互いの気持ちも考えずにその場のノリで付き合うっておかしくないか!? 少しは御坂の気持ちも考えてやれよ!!」 C.C.「じゃあボーヤの方は満更でも無いと?」 上条「そりゃあまあ御坂は可愛いし、案外気が付くし、結構いいかも……って何言わせてんだ!!」 美琴「え……あ、えーっと……///」 妹E「まったくしょうがないわね。 お姉様が踏ん切り付かないんだったら、代わりにこのミサカEが付き合ってあげるわよ」 美琴「って、それあんたが当麻と付き合いたいだけでしょ!! そんな事される位だったら私が当麻と付き合うわよ!!」 部長「はい決まりー♪」 美穂子「お二人共、おめでとうございます」 マリアンヌ「お幸せにね、お二人さん」 美琴「え゙!!? あ、いや、その~~……」 上条「えーと……上条さん、状況が良く掴めないんですが……」 美琴「な、何よ!! 私が彼女じゃ不服だっての!? 何か文句があるなら言ってみなさいよゴルァ!!!」 上条「いえ滅相も御座いませんワタクシ非常に光栄に存じておりますですハイ!!」 美琴「よし! じゃあ、今からあんたは私のか……か、彼氏なんだからね!/// 分かった!?」 上条「は、ハイ!!」 妹E「まったく、世話の焼ける二人よね。 ……あーあ、せっかくお姉様の口調を完璧にマスターしたのになあ。 ……けどまあ、あの調子なら進展も遅いだろうし、ミサカにもまだチャンスはあるわよね、うん」 49 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/17(日) 22 42 46 ID lOSflf1I インデックス「………………………………………」 ヴァン「チェストォォォォォォォォ!」 幸村「お…お…御館様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 ヴァン「よーし俺の勝ちだな。おら、出すもん出せ」 幸村「御館様……不甲斐ない幸村を許してくだされ……」ジャラジャラ インデックス「…………………とうまのバカーーーーー!!!」 二人「ぶべら!?」 50 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/17(日) 22 42 51 ID hoqPl8SE インデックス「うう~」 リボンズ「どうしたんだい、彼を盗られて悔しいのかい。イカ娘」 インデックス「誰がイカでゲソか!」 イリヤ「口調変わってるわよ」
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459 :名無しさんなんだじぇ:2011/10/11(火) 12 36 43 ID CyCh/r8U 唯「りっちゃん凄いねえ」 梓「まあ、律先輩はこっちに来てから色々ありましたからね。ガンマン設定とか」 レイ「ムッ!?」 梓「ドM設定とか」 神原「それは本編中でも片鱗を見せていたようだが」 ムギ「それで、本人は今どこに?」 アーニャ「向こう」 キャスター「ねぇ、私、意外と出番が少ないとか言われちゃったのよ」 律「は、はぁ」 キャスター「だ・か・ら、もっと私達の絡みを見せ付けないとって思ったわけ」ガバッ 律「ひゃっ! えっ、こんな所でですか? ああっ」 唯「あー、いつも通りだねえ」
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821 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/18(土) 21 04 03 ID SKUcI4sE あずにゃん「律先輩、唯先輩とムギ先輩を呼んでくるって言ってたけど遅いなあ……仕方ない、呼びにいこ」 ~~ムギの私室~~ ガガガガガガガ ドタドタ あずにゃん「なんか中が騒がしい……」 コンコン あずにゃん「ムギせんぱーい、入りますよー!」 ガチャ あずにゃん「……(中を見渡している)」 律「あ、梓……」 ムギ「梓ちゃん……」 唯「……」 あずにゃん「何、この光景?」 唯「あずにゃーん!」抱きっ あずにゃん「ゆ、唯先輩!?」 唯「せ、世界ってすっごく広いんだね!」 あずにゃん「意味がわかりません!」 ムギ「この状況は……」 律「どうなるだろうなあ……」 アーニャ「おもしろいかも」 キャスター「ほほえましいわねえ」 神原「(気絶中)」 826 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/19(日) 08 07 31 ID yvG0fyXQ 唯「でもあずにゃんにいきなりするってちょっと不安だよ」 あずにゃん「…なに言ってるんですか、唯先輩」 キャスター「そうねぇ、最初は経験者にリードしてもらったほうがいいかも」 律「ちょっとキャスターさん?!」 マリアンヌ「経験者ねぇ…」 ムギ「いらしたんですか、あなた」 マリアンヌ「だったら福路さんなんてどうかしら、平沢さん。現世での縁もあるし、お願いしやすいんじゃない?」 唯「みほみほ?でもお邪魔じゃないかなぁ…」 マリアンヌ「大丈夫よ、福路さんなら快く受けてくれるわ」 唯「それじゃあ…」 律「待て、唯!お前まで行くな!」 唯「りっちゃん、ゴメンね。でも私決めたんだ。HTTの皆を守るって!」ダッ アーニャ「理解不能…」 あずにゃん「あの…唯先輩、どうしたんですか?」 律「梓!唯を止めるぞ!あのままじゃダメだ!」 グイッ 律「ムギ!なにをする!?」 ムギ「りっちゃん?もうああなった唯ちゃんは止められないわ。分かってるでしょ?」 律「それでも!それでもあたしはあたしのHTTにそのままでいて欲しいんだよ!(ゴシュッ)ウグッ?!」 バタッ マリアンヌ「田井中さんはしばらく落ち着いたほうがいいわよねぇ。ねぇみなさんもそう思うでしょ?」 キャスター「なにを考えているのです?確かにりっちゃんは冷静さを失ってはいたけど、そこまでして止めるようなことかしら?」 マリアンヌ「別にぃ?私はその時その場所その目的にあった最適な手段に出ただけよ?」 マリアンヌ(さぁて、これでアーニャの恋敵がどうなるかしら☆) 832 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/19(日) 14 46 33 ID LT3Nt0CI 律「くっ…体が…上手く…動かない…」 マリアンヌ「安心なさい、ちゃんと強弱付けて殴ったから。ちょっと脳震盪を起こしただけよ」 アーニャ「マリアンヌ様すごい」 キャスター「さすが元騎士、閃光の名は伊達じゃないわね」 ムギ「ごめんねりっちゃん、でも私達は決意した唯ちゃんのお手伝いをしたいの、だから暫く大人しくしていてね」 あずにゃん「あ、あの、話が全然見えないのですが」 律「梓…唯を止めてくれ!…あのまま行かせると、唯が誤った道に進んでしまう!」 あずにゃん「…どういうことですか」 律「唯はな、お前が発情した時に自らその捌け口になろうとしているんだ…」 あずにゃん「え、唯、先輩が…」 律「でもそれは違う!あたしとキャスターさんは互いに望んでいるからいいんだ! だけど、今の唯は無理して自分を見失っているだけなんだ!だから、唯にはあたしのように道を踏み外してほしくないんだ! 軽音部の最後の良心でいてほしいんだ!それに梓、お前だってそれを望んでいないだろ!」 あずにゃん「…はい、そうです。私は、そんな事を望んでいません。唯先輩は唯先輩のままでいてほしいです!」 律「だから梓、お前が唯を止めてくれ!そしてあいつの目を覚ましてくれ!!」 あずにゃん「はい!わかりました!」 タッタッタッタッ……… 律「後は…任せたぞ」ガクッ キャスター「…いいの、行かせちゃって」 マリアンヌ「いいわ、あんな青春ドラマを見せられたら、彼女を妨害しようだなんて思わないわ」 ムギ「結果は彼女達に任せましょう。さあアーニャちゃん、残りの編集を再開しましょう」 アーニャ「…了解」 827 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/19(日) 09 27 34 ID 8w1NLV2c 梓「ちょっと待って下さい!唯先輩!」 唯「離してよ、あずにゃん。すぐに私も(自主規制)ができるようになって――」 バシン 唯「え、あず、にゃん……」 梓「唯先輩、私そんなこと望んでいません」 唯「でも、あずにゃん時々エッチになるし、そういう時は私が発散させなきゃ」 梓「そんなの本当の私じゃありません!」 唯「え、だって、お酒は人を開放的にさせるって言うから、あれはあずにゃんの隠れた本心――」 梓「違います!あれは私の歪んだ願いです!本当の私はあんなこと望んでなんかいません!」 唯「あずにゃん……」 梓「確かに唯先輩に対して良からぬ感情を抱いたことはありました。だけどそれは私が弱かったからです」 唯「え、やっぱり私と(自主規制)したいんじゃ」 バシッバシッ 梓「なに言っているんですか!?誰も彼もが(自主規制)を求めているわけじゃありませんよ。調子に乗らないでください!」 唯「…………」 梓「私は……私は、そのままの唯先輩が良いんです。そのままの唯先輩でいてください!」 唯「あずにゃん、そこまで私のことを思って……ありがとう」 梓「ゆいせんぱあああああいいいいいい」 唯「あずにゃん」 梓「唯先輩!唯先輩!唯先輩!!!!!」 唯(あずにゃん、分かったよ。私は今のままで、そのままの私で、これからもあり続けるよ) 刹那「ん、今どこかで歪みがどうのこうのって話がッ――」 久「はーい、映画上映中だからって張り切らないの」
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夢幻の如くなり(後編) ◆mist32RAEs ◇ ◇ ◇ ゼクスらを見つけたのは偶然だった。 というより、こちらも信長から離れるために移動していた最中、バッタリ遭遇してしまったに過ぎない。 まだ制限は解除されておらず、今の自分は無力な素人だ。 だがあの女が引いたということは、それを知らなかったのか。 「誰かと思えばホントにゼクスかよ。で、テメーあの女に俺の制限のこと喋ったのか?」 「あいにくそんな暇も余裕もなかったがな……見ての通りのくたばり損ない、さ……」 やはり。 一方通行はそんなゼクスに対し、ハッと皮肉げに笑った。 確かに怪我の具合を見れば、長くはもたないだろうということは明らかだった。 念のために構えた支給品の二二口径をだらりと下ろして、ゆっくりとゼクスの表情を覗き込む。顔色は極めて悪い。 「ま、最初に言っとくけど助ける気ィねーから俺。ちょいと死ぬ前に知ってること色々喋ってくれや。断ったら少し寿命が縮むだけだがよォ? そのまま死ぬよかだいぶ痛ェ目に合うんじゃねーかなァ、ギャッハッハッハッハ!」 それは本心だった。 できれば今すぐ衝動に任せて血の華をぶちまけてやりたいが、今は能力が封じられており武器はゴム弾の拳銃ひとつ。 しかも相手は放っておけば、じきにくたばる身だ。すでに満身創痍でろくに抵抗すらできないだろう。 そんなヤツをわざわざ殺してもイマイチ楽しくなるとは思えなかった。 それより、この制限下でも制圧出来る相手に出会ったチャンスを利用し、情報を手にいれるべきだ。 正直にいって今後の戦いで相手を殺さぬように手加減できるとは自分で思えなかったし、する気にならなかった。 頭の中で声が聞こえ始めた。内なる衝動が殺せ、殺せと叫んでいる。 ぎしりと歯を食いしばり、この場はどうにかそれを押さえ込んだ。 「殺し合いに乗った……んだな」 「……べェつにィ? やるこた変わっちゃいねェよ。邪魔な奴はブッ殺して、ゲームの主催もブッ潰してやるだけだ。 俺の都合のために虫ケラがいくらか死んでも知ったこっちゃねェ。踏みつぶして進むって、ただそれだけのこった」 今の一方通行は狂っているが最優先事項を忘れたわけではない。 殺人衝動にさえとらわれなければ、何をすべきか、そのためには何が必要かという思考を推し進めることは可能なのだ。 先程の戦闘で頭に血が上っていたのは確かだが、制限による無力化で冷静な判断力をどうにか取り戻した。 とりあえずゼクスから情報を手に入れること。そしてその荷物を奪い取ることが目的だ。 情報はいわずもがな、荷物の中に使える支給品があれば、無力化されている間はそれが頼りになる。 手に入れておくに越したことはないだろう。 「とりあえずもうすぐくたばるんだから、その荷物はいらねーよな? 俺が貰ってやるから寄越せオラ。ホレ、手に持ってるその拳銃もだよ」 はじめに支給されていた品の最後の一つ――アンチスキルのニニ口径ゴム弾拳銃を突きつけながら、ゼクスのデイパックを奪う。 まともに人を殺すことすらできない銃モドキに頼ることになるとは思わなかった。 あちらはこの銃がゴム弾であることなど知らないせいか、抵抗はない。またはすでにその力も尽きたか。 とにかく次だ。まだ用件は済んではいない。 「で、だ。こっちが本題なんだが、あと何分かで俺の制限が解ける。つまり能力をまた15分だけ使えるようになるわけだ。 そん時にテメーに手伝ってもらいたいことがある。それまで死ぬんじゃねェぞォ? 終わったらサックリ楽に殺してやっからよォ」 「……」 すっかり忘れていたが、先刻手に入れたアーチャーの首輪を解析しなければならない。 しかも都合のいいことに他にもう一つサンプルがみつかったので失敗しても代わりがきく。 そのもう一つとは言わずもがな、眼前のゼクス・マーキスのことである。 「目的のために手段は選ばないということか……」 「ハッ、よく言われるけど違うんじゃねェのかァ? 目的のためならとっちゃいけない手段ってのが最初からあんだろうがよ。 目的を定めた時点で手段ってのは限られてんだよ。そいつを見失った奴が選ばねェとか抜かすわけだ」 「お前は……違うと?」 「最初からなァ、元から俺が欲しいものは変わってねェよ。ちょいと事情が変わって、ちょいとやり方を変えたってだけだ」 そろそろ時間だ。時間を確認する。 路地の薄闇をぼんやりと照らす首輪のランプが赤から緑へ変わった。 「さて、時間だ」 「なにを……する気だ」 「まあ見てのお楽しみだ……っと」 ゼクスの顔をのぞき込むような動作で正面に腰を下ろし、無造作に片手で顔面を掴んだ。 驚いたように目を見開いてこちらを見ているが、能力が使えるようになった時点で向こうにはどうすることもできない。 (おとなしくしなァ、俺の声が聞こえるなら黙って頷け) (な……ぐっ!?) (俺とテメェの声をベクトル操作して直接お互いの頭蓋骨に響くように調整した。口ン中でモゴモゴやれば聞こえるはずだ。やってみろ) (いわゆる……骨伝導という奴か。お前は盗聴機を想定して……?) ゼクスもすでに気付いていたか。主催への反抗をブチあげただけはある。 この調子なら他にも何かすでに情報を得ているかもしれない。 (他にもこの首輪について何か知ってやがるな……どーせ直にくたばるんなら素直に全部ブチまけていけよ。 テメェの大事なリリーナちゃんの敵討ちくらいやってやるからよォ) (……私が接触した参加者――二十世紀末の日本からやってきた魔術師の解析結果だ……。 これから話す内容は、基本的に彼の時代における技術を基準にしたものになる……。 外面には視覚による情報の偽装・抑制を行うことに特化した概念物・礼装が埋め込まれ、現在も機能している。 視覚妨害以外にも礼装が存在……恐らく魔術行使に対する防御、ただし魔力供給がされていないため、死体から外された状態では機能していない。 中心部には金属……知る限りの材質において該当するものなし。トランシーバーに似た構造の装置が存在……機能の断定は不可能。 ICチップらしきものが存在……機能の断定は不可能。電磁石と共に液体が存在……知る限りの液体に該当するものがない。 製作技術――技術と工程。車、電化製品といった二十世紀の技術の範囲外で作られている。 その技術品に対し、視覚妨害・魔術妨害の機能を持つ限定礼装によって保護を行っている。 以上だ……私の荷物に情報をまとめたメモがあるから後で確認するがいい) (ヘェ……いいぜ、今ので全部覚えた。おかげでだいぶ仕事がはかどりそォだ) 一方通行が暮らす学園都市の技術レベルは、おそらくその魔術師とやらの時代よりも実質数十年は進んでいる。 実際に調べてみれば新たにわかる事もあるだろう。制限もあることだし余計な手間を食っている暇はない。 再び能力を封じられる時間までに、やれる限りのことをしておかなくてはならないからだ。 (……こいつは) 早速、ゼクスを掴んだほうとは逆の手でアーチャーの首輪を取り出し、解析を開始する。 一見でその断片すら解析できない要素が複数存在。これが魔術の礼装というやつか。 液体……おそらく液体爆薬、そしてトランシーバーについては多少未知の要素があるものの想定の範囲内だ。 バイタルサインをチェックする機能と見られる回路あり……しかし現在は機能していない。 爆薬、そしてそれに付属する回路と繋がっているが……止まっている。 ということは、おそらくこれを禁止エリアに放り込んでも爆発はしないだろう。 問題は魔術礼装……一方通行にとって未知の領域だ。 ここに来てから未知の力に触れたのは二回。一度目は織田信長の黒い影――侵食する瘴気。 そしてもうひとつ……一方通行の操作したベクトルすら乱す、あの女の能力――停止の結界。 どちらかといえば後者のものに性質が近い。 首輪をしていなかったあの女は主催側の人間である可能性が高い――つまりこの首輪ギミックの作者である確率は高い。 信長の能力であれば、すでにあっさり反射できるほど解析は済んでいるのだが、そううまくは行かないようだ。 (こっちは解析終了だ……次は生きているテメェの首輪を調べる。残り……9分と28秒。こりゃ楽勝だなァ。 しかしこっちのヤツと違って、そいつは今もバイタルサインのチェックが生きてるだろうぜ。ま、俺自身は反射で済むワケだがよ。 テメェは俺がしくじれば爆発してオシマイなんだが、今更恨む筋合いでもねェだろう? そんときゃ大人しく諦めなゼクス) (いいさ……今更こんな生命など惜しくはない……帝愛打倒に辿り着くための捨て石になれというなら、なってみせよう……!) (ヒャッハッハ……いい心がけだ。んじゃまァ――) (……だが!) 手首を強い力で握り締められた感触があった。 隻腕も同然のゼクスによって、一方通行の手が掴まれている。 反射的に、殺すか――と思い立った瞬間、ベクトル操作によるものではない、はっきりとした肉声が耳に響いた。 「これだけは……聞いておけ……一方通行……!」 「てめ……」 「いいか……勝利とは……水に落ちた犬を棒で叩くことだ……っ!」 「……はァ?」 少なくとも殺意はない。 何かを伝えようとしていることは分かる。 しかし、この死にかけの男は果たしてまともな思考で喋っているのだろうか。 思わずその顔をのぞきこんでしまう。 ゼクスの眼には確固たる意志の光があった。 思い出す――最強のレベル5たる自分の前に立ちはだかった、ボロボロになりながらも一歩も引かなかった男がいた。 そして、それを守るように立ちはだかった女がいた。あいつらも――確かこんな眼をしてはいなかったか。 一瞬、我を忘れる。 「……オマエ」 「勝つ事とは……負かすこと、蹴落とすこと、躓いた者を踏みつぶすこと、相手の傷口を広げて塩を塗りこむことだ……! 勝ち残るとは……屍の山を超えていくことだ……! 決して美しいことではない……残酷でさえある……っ!」 そしてその事実に気づいたとき、自分が憧れた/殺したくてたまらない存在が、内なる思考の中で歪んでいく。 まるで鼓動のように、どくんと自身の体が震えたように感じた。 「私は甘すぎた……ヒイロ・ユイのようには、それが、できなかった……ゆえに此処で無為の内に死ぬのは当然の事なのだろう……! 一方通行……貴様がそれでも勝ちたいと望むなら、鬼になれ……ッ!!」 一方通行の中で突如、爆発するように殺意が芽生えた。 黒い感情に満ちた、熱に浮かされたような狂喜が尋常とは思えぬ高ぶりをもたらす。 鬼気迫る――まさにその言葉がぴったりとハマる。 「ハハァ…………いいぜ、死ねよ」 ――首輪だけを残して、ゼクス・マーキスが歪む。 バンッッッ!!――と、自動車のタイヤが爆ぜるかのような鈍い破裂音が響いた。 「くか――」 びちゃり、びちゃり。 「くくかきくかこ――」 湿った柔らかい何かがべちゃべちゃと叩きつけられる音。 「くかきかここかこくかくかか――」 それが断続的に続く中、甲高くどこか非人間的な響きの哄笑が生まれ、徐々にそのボリュームを上げていく。 「くか――ぎゃは、ぎゃは、ぎゃははははははははははははははははははははははははははははははははははは ひゃっはっはっはっはっはははっはっはっはっはっはっははははははあははひゃはひゃひゃひゃはは、ひゃは ゲホッ、ゲホッ、ぎゃは、ひゃははははははははははははははははははははははははははははははははははは ゲッハハハ、ハハハハハハ、ハハ、ハハハハハハハハハハハ、ヒャッハッハッハッハッハッハッハッハッハハ ギャハハハハハハ―――――――――――――――――――――――――――――――ッッッッッッ!!!!」 可笑しくて可笑しくてたまらない。 息が切れるまで笑いつづけ、むせてもなお収まらずに笑い続ける。 口裂けの怪物みたいに、いっぱいに広げた口腔から、こみ上げてくる衝動のままに感情をぶちまけた。 楽しい。楽しい。 殺すのは楽しい。 スッキリ爽快、殺す度に思考がクリアになっていく感覚すらある。 「笑わせてくれんじゃねェか負け犬君がよォ! いいぜェ! 文句なしの完全勝利、キルゼムオールでキッチリ締めてやらァ!! 鬼になれだァ!? 悪魔でも魔王でもなってやらァ! 俺を誰だと思ってやがる!! 俺は最強で無敵のレベル5様なンだ!! テメェやそこらの雑魚みてェな弱い生き物なんかじゃねェンだよォォォォ!!!!」 べっとりと赤く染まったアスファルトの中心、生臭い血と骨と臓物の中で彼は吼える。 表面にゼクス・マーキスと刻まれた銀色のリングをその手に握り、夜の街に孤独な悪党が咆哮を轟かす。 その叫びはまるで誰も寄せ付けぬ悪鬼。 または寂しくて泣いている童のようで――。 【D-5 南部/一日目/真夜中】 【一方通行@とある魔術の禁書目録】 [状態]:精神汚染(完成)、能力使用不可(使用可能まで約一時間) [服装]:私服 [装備]:パチンコ玉@現実×少量、アンチスキル用ニニ口径ゴム弾拳銃@とある魔術の禁書目録 [道具]:基本支給品一式×2、缶コーヒー各種@現実×多数、首輪×3(アーチャー、利根川、ゼクス)、 H K MARK23 ソーコムピストル(自動拳銃/弾数5/12発/)@現実、3499万ペリカ、おもちゃの双眼鏡@現地調達、 真田幸村の槍×2、H K MP5K(SMG/40/40発/)@現実、その他デパートで得た使えそうな物@現地調達、ピザ×10@現実 Draganflyer X6(残バッテリー約10分)@現実、Draganflyer X6の予備バッテリー×4@現実、士郎の首輪解析メモ [思考] 基本:どいつもこいつもブチ殺して打ち止めを守る。 0:能力が使えるようになるまで身を隠す。 1:打ち止めを守る(※打ち止めはゲームに参加していません)。 2:このゲームをぶっ壊す! 3:首輪を解析する。首輪を解除出来たらあの女(荒耶)をブチ殺す。 4:上条当麻は絶対に絶対に絶対に絶対にブチ殺す。 [備考] ※飛行船で首輪・制限の制御を行っている・主催側で制限を調節できるのではないかと仮説を立てました。 ※ゼクス、政宗、神原、プリシラ、スザク、レイと情報を交換しました。 ※ライダーの石化能力・藤乃の念動力の制限・信長の瘴気・荒耶の魔術(不完全)を分析しました。 ※式の力で、首輪の制限をどうにかできる可能性があると判断しています。 ※橙子(荒耶)の名前は知りませんが、首輪の魔術礼装の作者ではないかと考えています。 ※ゼクスから士郎が解析した首輪の構造情報を入手しました。 【アンチスキルの22口径ゴム弾拳銃@とある魔術の禁書目録】 学園都市のボランティア警備員であるアンチスキルが使う暴徒鎮圧用拳銃。 反動が小さく素人でも扱える22口径、弾頭もゴム製で、あたってもせいぜい肋骨が折れる程度の威力しかない。 ◇ ◇ ◇ デパートの上層部から眺める真夜中の街並みは、街灯の人工的な明かりが星屑の海を思わせる。 戦国の世にはない、天井から床まで一面すべてギヤマンでできた透明な壁。 そこから透けて見える夜景を眺めつつ、第六天魔王こと織田信長は建物内で調達した酒瓶に口をつけた。 足元に広がる下界をよくよく見てみれば、先刻の戦による余波であちこちから火の手が上がっている。 まさに戦場の跡。打ち砕かれし建築物は朽ち果てた姿を晒し、骸は誰にも顧みられぬまま捨て置かれる地獄。 信長にとっては見慣れたものだ。汚れし世に救いなど一辺も無く、邪気と魔性に満ちた人界――それが戦国。 「夜に参ずるは黒凶つ……下天の内に充ち満ちて……永劫現を貶めん……」 再び酒をあおった。 一旦、外套と鎧を外しており、その下の肉体に布切れを裂いて包帯の代わりとし、傷を覆ってある。 今は休息の時だ。ここから見る限り、辺り一帯は静かなものである。 遙か遠方からでも立ち昇った、先程のような大きな戦の機は未だ見えない。 天の理なくば、是非も無し。 ここは力を蓄え、刻来れば地獄の釜を開くが如き鏖殺の戦を始めるべし。 百鬼眷属、我が背名にあり。 我が刃は厄災の刺。 我が覇道は疾走する狂喜。 我が抱きし闇は浮世を慟哭する魂で満たし、死に至る病で埋め尽くす。 我が名は第六天魔王――織田上総介信長也。 「人間五十年……下天の内をくらぶれば……」 織田信長は、この幸若舞・敦盛の一節をことあるごとに好んで舞った。 天下にその名を轟かせた桶狭間の合戦を思い出す。 武田と伊達を手玉にとり、今川の首を労せず討ち取ってみせた。 「夢幻のォ……如く……なりィ……」 能独特の朗々たる声が響きわたる。 凄絶な笑みを浮かべながら、いまの信長はこの死地を楽しんでいた。 「一度生を享けてェ…………滅せぬ者のォ……あァるべェきィかァァァァ……!」 信玄坊主ではないが、動かざること山の如しという言葉が今の状況には相応しい。 あと一刻も立たず放送とやらが流れるだろう。 その放送ごとに、この戦場における機は大きく動く。 死者の読み上げ――この殺戮遊戯における参加者――同盟相手、もしくは敵対関係の生存確認。それによる戦略の変更。 禁止エリアとやら――それによって移動すべき経路は大きく変わる。 信長はかつてそれを三度伝えられた経験で、もし自ら動くならばそれからだと正しく理解していた。 「全く……安い座興よ……」 持っていた酒ををすべて飲み干すと、無造作に瓶を床に投げ捨て、笑った。 魔王は今この時だけ殺戮の手を休め、無心で、ただ夜を眺めていた。 【D-5 南のデパート最上階/一日目/真夜中】 【織田信長@戦国BASARA】 [状態]:疲労(小)、ダメージ(中)治療済み [服装]:ギルガメッシュの鎧 [装備]:カリバーン@Fate/stay night [道具]:なし [思考] 基本:皆殺し。 1:放送後、荒耶の言葉通り、西に向かい参加者を皆殺しにする。 2:荒耶は可能な限り利用しつくしてから殺す。 3:首輪を外す。 4:もっと強い武器を集める。その為に他の者達の首をかっきり、ペリカを入手する事も考慮。 5:高速の移動手段として馬を探す。 6:余程の事が無ければ臣下を作る気は無い。 [備考] ※光秀が本能寺で謀反を起こしたor起こそうとしていることを知っている時期からの参戦。 ※ルルーシュやスザク、C.C.の容姿と能力をマリアンヌから聞きました。どこまで聞いたかは不明です。 ※視聴覚室の遮光カーテンをマント代わりにしました。 ※トランザムバーストの影響を受けていません。 ※思考エレベータの封印が解除されましたが、GN粒子が近場に満ちたためです。粒子が拡散しきれば再び封印されます。 ※瘴気によって首輪への爆破信号を完全に無効化しました。 ※首輪の魔術的機構は《幻想殺し》によって破壊されました。 ※具体的にどこへ向かうかは、次の書き手にお任せします。 ※荒耶との間に、強力な武具があれば譲り受けるという約束を結びました。 ◇ ◇ ◇ OZで長い時間を過ごした私は、戦争の中に勝手な美意識を持ち込んでいた。 戦う者同士、敵と味方にわかれていても、唯一認め合うことのできる精神としてだ。 私には守るものを持つ資格がない。だが、彼らに――ヒイロ・ユイらに言わせれば、この考えこそが甘いのだろう。 美意識を気取った体裁など必要ない。そんな戦いしかできないがゆえに、私はここで倒されただけのこと。 これは戦争なのだ。命をかけても学ばなければならないものがある。それができねば死ぬだけだ。 しかし戦いは激化するがゆえに、置いていかれぬ為には人間としての感情さえ必要としなくなっていく。 私は一人の兵士、自分の意思として、その流れに逆らう道を選んだ。 ヒイロ・ユイ……お前は純粋すぎる、そして優しすぎる。しかし、そうでなければ生きる資格がないということか。 ならば私は、どこまでも生き抜いてみせるべきだったのか。誰よりも厳しく、戦士として。 だが……リリーナを失い、その屍を踏み拉いてまで、修羅の道を踏破した果ての勝利にどんな価値があるというのだ? お前は強すぎる。私には……無理だ。 「そうか…やはり律儀な男だよ君は。だからこそ私も信頼がおけるというものだ」 ――トレーズ・クシュリナーダ。 幻か……それとも、この無様な私を地獄から笑いにきたのか。 「そういえば君の気が済むのかね。この世から戦いはなくならん。ならば常に強者が世界をおさめればいい。 人々は強い者に支配されることに喜びすら感じる。世界は戦い続けることが自然なのだ」 ――それが貴様の理想か。 「言った筈だ。私の理想など、一人の人間の妄想でしかない。 歴史は日々の積み重ねで作られる。個人の未来などに興味はない。 ゼクス・マーキス――いや、我が永遠の友ミリアルド・ピースクラフト。 君に会えたことを悲しく、また嬉しく思う。だがこの戦場は変わっていく。私の力が不足していた。 人の進む道はあまりにも気ままだ。ふくれあがる力が、これほどまでに人の心を置き去りにしていくとはな」 そうでなければ勝てはしない。 ゆえに貴様は敗れたのだろう。そして、この私も。 そうまでして得た勝利に価値を見出せぬがゆえに。 互いに生き残るべき人間ではなかったということだ。 「……古き良き伝統と人間の奥深い感情が築き上げた、いたわりの歴史。 私は戦うことが時に美しいことと考えると共に、命が尊いことを訴えて、失われた魂に哀悼の意を表したい。 私は、人間に必要なものは絶対的な勝利ではなく、戦う姿、その姿勢と考えている。 しかしモビルドールという心なき戦闘兵器の使用を行うロームフェラ財団の築く時代は、後の世に恥ずべき文化となりはしないか。 また一方で、戦わずにはいられない人間性を無視する完全平和をたたえる……。 宇宙コロニーの思想は、その伝統を知らぬ無知が生み出す哀れな世迷い言と感じていたものだよ」 だが――その宇宙から彼らが生まれたのだろう。 「そう。その境遇の中から、私の理想を超えた新しい戦士達が生まれた。それがガンダムのパイロット達だ。 彼らの純粋性に満ちあふれた感情の前に、私が愛した伝統はかすんで見えた。 守るべきものを失い、さらに守ってきたものに裏切られた戦士は歴史上敗者であるにも関わらず。 しかし彼らにその認識はない。それどころか、彼らはまだ戦う意思に満ちあふれていた。 美しく思われた人々の感情は常に悲しく、重んじた伝統は弱者達の叫びの中に消え失せる。 戦いにおける勝者は歴史の中で衰退という終止符を打たねばならず、若き息吹は敗者の中より培われる。 ならば私は……敗者になりたい」 だが貴様は、いや私もその敗者にはふさわしくないということさ。 むしろそれは衰退する勝者としての思考だろう。 人は場所、時間、環境を選んで生まれる事は出来ない……。 格差というものは確かに存在し、ゆえに生まれた瞬間、それぞれが生きる境遇は異なっている……。 それが宿命だ。そして世界はあまりに無慈悲で残酷なのだ。 「我々は衰退すべき勝者として生まれたがゆえに……結果として敗れるべき勝者にしかなれなかったと……?」 いや……私や貴様が焦がれた彼らは、そんなことなど露ほども考えていない。 彼らは、ただ明日を求めただけだ。 勝者か敗者か、きっとそんなことは最初から関係ないのだよ、トレーズ。 残酷な世界。 無慈悲なる宿命。 孤独に過ぎる冷たい荒野をただ一人で進まねばならぬとしても……。 「それでも彼らは――ただ明日を求めた、か」 ああ。 そうだ。 きっと、それこそが――、 【ゼクス・マーキス@新機動戦記ガンダムW 死亡】 時系列順で読む Back 夢幻の如くなり(前編) Next Moonlight Blue 投下順で読む Back 夢幻の如くなり(前編) Next Mobius Noise 258 夢幻の如くなり(前編) ゼクス・マーキス GAME OVER 258 夢幻の如くなり(前編) 織田信長 275 拡散スルハ死ノ恐怖 258 夢幻の如くなり(前編) 一方通行 267 生物語~すざくギアス~(上)
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疾走する超能力者のパラベラムⅤ ◆hqt46RawAo ◆ 『全て終わった後に/迷いと答え/もう一度』 ◆ 「――まァ、そォいう事があったわけだ」 長き語りは終わる。 一方通行は自分が見てきた事実をありのまま告げた。 死と生。戦いの行方。嘘はない。 殺した者は『殺した』と。 生きている者は『殺し損ねた』と。 偽らずに、全てを上条に語った。 「それでのろのろと南下してきたところ、オマエとばったりってな」 上条は暫くの間言葉を発する事も出来なかった。 ずっと、一方通行の語る事実をかみ締めるように、拳を固く握り続けていた。 「なんでだ……?」 漸く搾り出した声は震えていた。 「なんでお前はそんな事を……」 「あン? 説明しなきゃわかンねェのか?」 「…………ッ」 問いかけつつも、上条は半ば答えに辿り着いていた。 おそらくは、自分のせいなのだ。 上条があの時、無意識に一方通行よりも御坂美琴を優先したから。 あの状況で死体に拘った。 上条なりの生き方を通した結果が、一方通行を凶行に向わせた。 「畜生……ッ」 一層、強く拳を握り締める。 もう取り返しが付かないのだ。 失われた命も自分の間違いも。 あの時こうなると知っていれば、などという言い訳はきかない。 結果が全てであり。 結果的に上条は間違えた。 事実はそれだけなのだ。 (じゃあどうすれば、良かったんだよ……) 既に知らされた間違い。 にも拘らず上条は迷う。 どうすれば良かったかなど明白なのだ。 上条は自分の生き方を貫き、それが結果的に巡り巡って人の死に繋がっただけ。 それは間違いでもあり、同時に避けようもない事故でもある。 だが上条には流せない。 割り切れない。 今までこんな事は無かったのだ。 彼は彼なりに生きて、それで彼の世界を守る事が出来た。 なのに今回はどうしても上手く行かない。 幾ら決意を固めても、全力でぶつかっても好転しない事態が在る。 あげく、自分の生き方、やり方を否定された。 何故なのか? 自分は何も変わっていないはずだ。 だが、全てが否定され、現に全ては裏目に出た。 大切な仲間は失われた。 守ると約束した人間はもう死んだ。 その上、確固たる己も否定された。 何も変わっていない筈のに、全てが否定される。 全てが間違いだった。 ならば……。 (俺は……何かを間違えているのか?) 結局はそこに帰結する。 揺らぐ意志が、決して揺らがない生き方を見失う。 「俺は……」 「で、俺がなンでここでオマエとしゃべくり続けているかというとだな」 上条の呟きを無視して一方通行は話し続ける。 顔を上げた。 当然、一方通行が殺し合いに乗ったのだとすれば、ここで上条と戦う事になる。 だが彼は暢気に話す一方で、未だに自分から仕掛ける事はない。 「最初はな。オマエとちっとばかし喋り終わったらそれでサイナラしようか、とも考えていたンだ……。 なンせ残り時間が後一分もねえ。その右手と真っ向勝負はちと分が悪りィだろ?」 「なら、なんで……」 何故まだここに留まっているのか。 「ああでも、やっぱ駄目だ。駄目なンだよ、今のオマエは駄目だ……。ふざけンじゃねえぞ?」 その瞬間、押さえつけれられていた怒気と殺意が顕になる。 「今のオマエの存在だけは許せねえ。死ンじまえよ、今すぐに……。この世から消えうせろ」 狂気の叫びではなく。 冷たい失望の刃が上条を刺す。 完全にキレていた。 この時、一方通行は己を支配する狂気を超える程の怒りを湛えていた。 一方通行自身にも、その怒りの正体は理解できていない。 彼は今、己の内側から沸きあがる不可解な感情に突き動かされている。 「……勝負だ。リターンマッチだぜ最弱(さいきょう)」 一歩、踏み出した。 一方通行はこのとき、狂気からも、理屈からも乖離した行動をとっていた。 殺意に狂わせる脳裏の存在に従うならば、有無を言わさず出会い頭に上条を殺していた筈である。 未だに残る理性の判断に従うならば、残り時間のリスクから早々にここを立ち去っていた筈である。 今の彼を突き動かすものは、怒り。 目の前の存在が我慢ならないという。 それは、意地という言葉に言い換えることが出来るかもしれない。 もう一歩、踏み込む。 近づいていく。 あの、幻想殺しに。 その歩みに、向ってくる敵の姿に上条はたじろいだ。 自分を見失いつつある彼には闘う覚悟も定まらないまま、強大な敵が再び目前に在る。 今はもう、拳の握り方も分らないというのか。 「クソッ! ………ォッ!!」 迷いに答えを出せないまま、揺らいだまま上条は挑んだ。 揺らいだ意志で足を引きずりながら敵へと駆け出した。 一方通行はそれを待ち受ける。 静かに歩き続けながら、約10メートルの距離が縮まっていくことを良しとする。 それは正に勝負だった。 彼は知っている。 住宅街、左右に逃げ場なしというこの状況。 遠距離攻撃徹すれば一方通行に負ける要素はない。 そして近距離は勝機が薄い。 にも拘らず、待ち受ける。 まるで上条当麻とだけは、同じ土俵で闘う事を決めていたように。 距離が詰まっていく。 ぐんぐんと、あっという間に、10メートルは5メートルに、5メートルは1メートルに、 そして、ゼロへ。 「「…………っらァッ!」」 重なる叫び。 同時に腕が伸びる。 拳が飛ぶ。 上条の右腕に、一方通行も己の腕で答えた。 交錯する腕(かいな)、しかしその差は歴然だ。 やはり上条当麻の拳が速い。 一方通行の腕は遅い。 それは分りきっていたはずの展開。 理が逆転することなど当然無く。 一方通行の腕よりも速く、上条の拳が一方通行の頬を殴り抜いた。 「……ギァッ!」 蟲が潰れたような声を漏らす。 無様に、殴られる。 だが一方通行は倒れなかった。 本来ならば、ここで吹っ飛ばされているはずだというのに。 「温りィ……。なンだァ? 今の糞みてェなパンチはァ……?」 殴られ、よろめきながらも一方通行は嗤った。 なんて情けない。 己はこんな無様な拳に敗北したのか、と。 「……!?」 そして上条はその挙動に意表を突かれていた。 敵の能力を知ればこそ、ありえない筈の挙動だった。 両手が、触れただけで死を呼び込む一方通行の破壊の両腕が、 それが通用しないはずの上条の右手を掴み取っている。 (何故!?) その言葉で上条の脳裏が満たされる。 だがマズイ。 嫌な予感だけはヒシヒシと伝わってきた。 このままでは、このまま身体を捕らえたままでは……。 (まさか、コイツ……本気(ガチ)で俺と勝負しようってのか……!?) 缶コーヒーやら銀球やらガラス片やら風やらの、優位な遠距離攻撃を一切省いた。 完全なる近距離戦。 小細工無しの格闘。 一方通行を知る上条にとって、それが一番意外な選択肢だった。 そして一方通行の手は上条当麻を捉えきれない。 だが唯一、捕らえられる可能性がある場所が在るとすれば。 殴る際、どうしても敵に触れなければならない、その右手に他ならない。 「まさか……!」 一方通行は最初からそこのみに注目していた だが本来ならばその手を捕らえる事も許さなかったはずだ。 殴り抜いた瞬間、一方通行は地を転がっていた筈なのだから。 けれどそうはならなかった。 それは拳のにぶり。 引き起こした要因はやはり迷いか。 迷いに揺れる意志と、 既に狂気すら飲み込んで前進する意志との差。 一方通行はよろめきながらも、決してその手を離さない。 上条当麻の右手を掴んで離さない。 絶対に逃がさない。 「…………ッッ!!」 そして伸びてくる破壊の手。 遂に届く。 上条当麻の無防備な胴体へと。 そこから逃れる為には、方法は、一つ。 「…………グ、ガハッ!!」 またしても響く打撃音と小さな声。 上条当麻は右手を掴まれたまま、 そのまま再度、一方通行を殴り抜いたのだ。 今度こそ吹っ飛ばされる一方通行の身体。 「はッ。 なンだよ、まだ見所は残ってやがる……。 殺し損ねちまったか……」 地を滑りながらも彼は嗤って言った。 だが上条は、既に満身創痍の体だった。 「ガ……グッ……ゴホッ……ゴホッ……」 体内から大量の血が逆流してくる。 口から流れ出す鮮血。 足の傷口から噴水の如き勢いで赤が吐き出されていく。 血流操作が中途半端な所で止められたからか。 上条は一方通行に触れられながらも、未だに即死は避けていた。 しかし十分なほど身体の内部を破壊され、凄まじい激痛が全身を巡っている。 「ギッ……がぁ……!!」 耐えなられない。 立ち上がる事が出来ない。 死に、瀕する。 そんな時でも上条の脳裏を占める感情はやはり一つ。 己は何を間違えていたのか。 どうする事が正しい道だったと言うのか。 本当に、自分のやり方はただの思考停止の成れの果てであり。 アーチャーやスザクやファサリナの言葉が正しいとでも言うのか。 理想を切り捨てて、犠牲を良しとして生きれば、こんな最後を迎えなかったのか、と。 「俺は……それでも……認めたくねえ……曲げたくねえんだ……」 感情が、知らず言葉となって溢れ出していた。 「何が。悪いんだよ……。皆が助かる道を選んで、最高のハッピーエンドを願って、何が悪いんだよ!! 畜生!!」 知らず叫びとなっていた。 誰にも向けられない、独白。 けれど、それに答える者が、今は居たのだ。 「……なンにも、悪くねえよ。そうさ、オマエはそれで良いンだよ」 思わず耳を疑った。 上条は伏せていた顔を上げる。 その視界は真っ赤に染まっていた。 聴覚にもガタがきている。 だが、聞き間違いではない。 目の前の一方通行は。 他でもない、相対しているこの宿敵は今確かに、上条当麻を肯定したのだ。 「…………な……?」 「あァ? なに驚いた顔してンだよ。 オマエは何も間違えちゃいねェって、言っただけだろうが……」 心底呆れた声で一方通行は話す。 「そりゃァ、オマエの考え方に理屈で難癖つけてくる奴も居るだろ。 まァ確かにオマエはちっとばかしカッコつけすぎだとは思うけどな……」 驚きを隠せない上条へと言葉を紡ぐ。 「けどよォ……オマエはその理想を、現実に変える力を持ってンじゃねえか」 お前は俺とは違うだろう、と。 悪に、闇に落ちなくとも、 正道を行きながらも全てを助けるだけの、強さを持っているだろう、と。 彼は言う。 「何をごちゃごちゃ悩ンでやがンだ馬鹿野郎が……。 今のオマエが弱いのは、あの時、傍に居た誰かがいねェからだろうがよ。 だが、それも含めて力だったはずだ。オマエは確かに、強かったはずだろォが。 だからこそ許せねェ。そのオマエがこンな所でカスみてェにいじけてやがるザマは、見てるだけで虫唾が走る……」 どのような運命の巡りなのか。 この島で誰もが否定し拒絶した上条当麻の理想と生き方。 それを唯一理解し、肯定し、回答を示すのはこの宿敵だった。 「そら、立てよ最強。オマエは何も悩む事なンざねェ。その強さと理想は俺が保障してやるとも。 なぜならオマエ……忘れたなンて言わせねえぞ? オマエは他の誰でもねェ―― この世で唯一、俺を倒した男なンだろうがッ!!」 お前は強い。間違いなどない。 その道を行く事に躊躇いなど憶えるな。 上条当麻にはその理想を成し遂げる強さが在る。 一方通行は本気でそう、言っていた。 本気で、信じていた。 一方通行はようやく己の怒りの正体に思い至る。 彼は我慢できなかったのだ。 自分を唯一倒した男が腐っていくのが、耐えられなかったのだ。 結局彼だけは、誰よりも上条当麻の強さを信じていたのだ。 他でもない、上条当麻に敗北した者として。 「…………あぁ……」 その言葉を聞いた瞬間、 上条はまるで頭の中の靄が、すべて吹き飛んだような気がした。 全身を激痛で苛まれる中で脳裏だけが何故かすっきりとしている。 「…………そう……だな」 ただ代わりに、憤りが湧き上がってきた。 自分が何を見失っていたのかを理解する。 己の理想に間違いは無かった。 それは目の前の敵が示してくれた。 後はもう一つだけ、上条自身が辿り着かなければならない答えが在る。 ではいったい何が足りなかったのか。 それも既に目の前の彼が示してくれた通りだ。 彼の隣に居た仲間が、今はもう居ない。 そう言う意味で、確かに上条は弱くなっていた。 だから……。 「ははっ……くそ……強くなりてえな……」 本当に情けない。 結局、己は仲間に助けられてばかりだった。 いざ一人になってみれば、現実はこんなものだ。 「俺は……強くなりてぇ……!」 だから今、上条は力を欲した。 たった一人でもすべてを守れる力を。 全ての不条理を殴り飛ばせるほどの力を。 「ああ、だったら……こんな所で死んでらんねぇか……。そうだよな」 そして、前に進む事を選んだ。 迷いはもうない。 己の弱さは自覚した。嫌というほど思い知った。 だが、迷いはもう無いのだ。 ならば後はその先に向って進むのみ。 「悪かったな……手間をかけさせた……」 「謝るなよ。オマエが俺に殺される事実はかわらねえ」 「ははっ……そうかよ。じゃあ、いくぜ」 「ああ、きやがれ」 そうして漸く、上条当麻は立っていた。 自分の戦いの舞台に、確固たる己を持って。 「俺は強くなる。その手始めに、まずはてめえを助けてやる!」 他ならぬ。『幻想殺し』上条当麻の声で、言った。 ■ ――ああそうだ、その眼だよ。 駆け抜けてくる少年の姿に、一方通行はどこか懐かしい思いを感じていた。 ――その拳だよ。 こちらを真っ直ぐに見据えるその眼光。 力強く振り上げられたその拳。 ――そいつに、俺は負けたンだ。 不思議な感覚だった。 まるであの日に戻ったようだ。 目の前の少年と始めて闘ったあの夜に。 ――そして、そいつに俺は……。 思い出す。 目の前に在る。 あの夜、颯爽と現れて、悪であった己を拳一つで殴り飛ばしたあの姿。 絶対に辿り着けないと今も確信する。 忘れられないヒーローの体現者。 その姿に――憧れた。 ――俺は……。 確信する。 理屈ではない心のどこかで直感する。 自分はやはり、今回も勝てないのだろう。 絶対にかなうものか、あの眼に、あの拳に、あの上条当麻に……。 ――俺はもう一度……。 これで、全部おしまいだ。 悪い幻想(ユメ)は上条当麻が全部殺してくれる。 己は負ける。 ――あの拳が俺に届けば、それで終われる。 その確信と共に、一方通行は幻想殺しを待ち受けた。 全ての不浄を払う。 上条当麻を待っていた。 ◆ 『終幕/はじまりのおわり』 ◆ 「……そう、か」 その結果は実の所、意外でもなんでもなかった。 倒れた者はもう動かない。 ならば、未だに立つものこそが勝者だ。 「ああ……それじゃァ、俺の勝ちだな」 即ち、ここに立つ一方通行こそが勝者となる。 路上に倒れた上条当麻には、もう既に息は無かった。 死んでいる。 不完全ながらも血流の逆流を受け。 内臓に重大なダメージを負い。 血を流しすぎた。 その順当な結果。 至極自然に、完膚なきまでに、普通に、死んでいる。 一方通行には分っていた筈だ。 すでに上条には決定的な一撃を与えていた事など。 即死でなくとも、上条は致命傷を負っていた。 それを知っていたにも拘らず、彼は驚いていた。 己の勝利に、上条の死に、疑問を感じている。 「けどよ。なンで、だ?」 何故自分は勝利しているのか。 目の前の幻想殺しと戦って、それで勝ってしまった。 その理由を問う。 答える者は居ない。 上条当麻はもう死んでいる。 この場には一方通行以外の誰もいない。 「いいのか?」 誰にともなく、一方通行は問い続ける。 この世の摂理はこの結果を良しとしたのか。 一方通行がこの先に行く事を認めるというのか。 ヒーローの敗北。 それを是とするのか。 「そういう事なのか?」 答える者はいない。 ならば、残っているのは結果だけだ。 正義が死んで、悪が勝ったという。 それだけだ。 「そう……か。そうかよ…………ヒ、ハ、ヒャハハッ! ヒャはハハハハハはハハハハはハハハハハハハハはッッ!!!!!! ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッッッ!!!!!」 最後の幕が閉じる。 終わりは勝者の狂笑にて。 それが何を意味していたのかは誰にも分らない。 怒りか。 慟哭か。 歓喜か。 だがいずれにせよ、彼はもう迷う事など無いだろう。 疑問を挟む事もない。 ひたすらに。 どこまでも、この果て無き修羅の道を行くだろう。 その手がいつか、目指した救いに触れるまで―― 【上条当麻@とある魔術の禁書目録 死亡】 ■ 【E-4 南部の住宅街/二日目/黎明】 【一方通行@とある魔術の禁書目録】 [状態]:精神汚染(完成)、肩口に打撲、能力使用不可能 [服装]:血みどろの私服 [装備]:アンチスキル用ニニ口径ゴム弾拳銃@とある魔術の禁書目録 [道具]:基本支給品一式×4、缶コーヒー各種@現実×多数、首輪×3(アーチャー、利根川、ゼクス)、 H K MARK23 ソーコムピストル(自動拳銃/弾数5/12発/)@現実、3499万ペリカ、おもちゃの双眼鏡@現地調達、 真田幸村の槍×2、H K MP5K(SMG/40/40発/)@現実、その他デパートで得た使えそうな物@現地調達、ピザ×10@現実 Draganflyer X6(残バッテリー約10分)@現実、Draganflyer X6の予備バッテリー×4@現実、士郎の首輪解析メモ デイパック(サーシェスの死体入り)、ノートパソコン@現地調達、オレンジハロ@機動戦士ガンダムOO、9mmショート弾(14発) 救急救命セット@現実、柳刃包丁@現実、工具一式@現実、雑誌@現実×多数、真田幸村の首輪、 果物ナイフ@現実 作業用ドライバー数本@現実 タバコとライター@現実、ショットガンの予備弾丸×78 文化包丁@現実 レイ・ラングレンの銃@ガン×ソード、ドラグノフ@現実(10/10)、 GN首輪探知機@オリジナル、平バール@現実、麻雀牌@咲×31個、ユンケルスター@現実×8 コンビニの商品多数(内容は後の書き手さんにお任せします) [思考] 基本:どいつもこいつもブチ殺して打ち止めを守る。 0:――――――。 1:打ち止めを守る(※打ち止めはゲームに参加していません)。 2:このゲームをぶっ壊す! 3:首輪を解析する。首輪を解除出来たらあの女(荒耶)をブチ殺す。 4:サーシェスの死体について、何か情報を集めてみる。 [備考] ※飛行船で首輪・制限の制御を行っている・主催側で制限を調節できるのではないかと仮説を立てました。 ※ゼクス、政宗、神原、プリシラ、スザク、レイと情報を交換しました。 ※ライダーの石化能力・藤乃の念動力の制限・信長の瘴気・荒耶の魔術(不完全)を分析しました。 ※橙子(荒耶)の名前は知りませんが、首輪の魔術礼装の作者ではないかと考えています。 ※ゼクスから士郎が解析した首輪の構造情報を入手しました。 ※赤ハロとオレンジハロ間で通信が出来るようになりました。通信とは言えハロを通しているため、声色などはハロそのものにしかなりません。 ※当麻と式の力で、首輪の魔術礼装をどうにかできる可能性があると判断しています。 ※最悪の場合、生存者の中で殺し合いに乗った人間は、己を含めて四人しかいないと予想を立てており、 その内の二人は織田信長と浅上藤乃であると判断しています。 ※サーシェスの名前が放送で呼ばれなかった事には、死体に首輪が無かった事も含めて、 何か厄介な裏があると見ています。 時系列順で読む Back 疾走する超能力者のパラベラムⅣ Next おわりのはじまりⅠ「少女には向かない職業」 投下順で読む Back 疾走する超能力者のパラベラムⅣ Next おわりのはじまりⅠ「少女には向かない職業」 280 疾走する超能力者のパラベラムⅣ 一方通行 286 覚醒ヒロイズム 280 疾走する超能力者のパラベラムⅠ 上条当麻 GAME OVER
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255 :名無しさんなんだじぇ:2010/12/29(水) 03 45 37 ID 1UeJnRhM みんなわいわいがやがやと楽しく過ごしているが、アレを忘れていないか! というわけでいくつか考えたネタの内、出来たところまでを投下。 ~~死者スレ・たまり場~~ とーか「突然ですが、これから貴方達に大掃除をしてもらいます」 「「「「「な、なんだってー!」」」」」 カイジ「…この光景ってどっかで見たことないか?」 部長「所謂お約束の反応ってやつよねー」 利根川「しかし何故大掃除など、っと聞くのも野暮だな」 黒桐「この一年間で大量の物が溢れていますからね」 会長「ゴミを放置した結果が先日のG騒動を引き起こしたしな」 五飛「うあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」 ゼクス「ハハハ、ワタシニハナンノコトダカワカラナイナ?」 ユフィ「な、なんであれ綺麗さっぱりな状態で新年を迎えるためにも大掃除をしましょう!」 閣下「それでは諸君、エレガントを心掛けて掃除をなしたまえ」 ~~死者スレ某所~~ 刹那「しかし、俺の部屋は掃除しようがない程片付いているが」 ヒイロ「同感だ。必要最低限の物以外を持ち合わせることがないからな」 デュオ「いや、平時の青少年が部屋の中にパイプベッドと机だけしか置いてないとか質素過ぎるっていうレベルじゃねーぞ!」 紬「ガンダムバカ、手が空いているのならアジトを掃除してくれないかしら?それとザ・自爆には格納庫を任せたいけど?」 刹那「わかった」 1「任務了解」 紬「よろしくお願いします」 アーニャ「ツムギ、今は手空いている?貯め込んだ記録を一緒に整理してほしい」 紬「ごめんね、今からバンドの練習部屋の片づけをしなくちゃいけないの。代わりにデュオさんを連れていってね」 アーニャ「(神原も不在、あれを片付けるには人手が必要……)わかった」 デュオ「って俺の意思なしで話が勝手に進めるなよ!?」 アーニャ「何か不都合?」 デュオ「……あーもういい、俺も暇だから手伝ってやるよ」 256 :名無しさんなんだじぇ:2010/12/29(水) 07 15 17 ID 79WAQnmE バサカ「では、スコップを借りていきますね」 アーチャー「む? スコップなど、何に使うつもりだ?」 バサカ「ちょっと川の流れを変えて、まとめて押し流そうと思いまして」 アーチャー「 ……その方法はやめろ――!! 」 【バサカ アウゲイアス式大掃除 未遂確認】 遅くなったけどラジオの人GJ!! 257 :名無しさんなんだじぇ:2010/12/29(水) 16 48 24 ID TcbJLyr. ~~死者スレラジオスタジオ~~ 玄霧「それでは現パーソナリティーのお二方にはスタジオの清掃を頼みます」 筆頭「OK!そんじゃ、この中にある道具を全部外に出すぜ」 神原「部屋の掃除はその後だな」 玄霧「では安藤さん、ここの指揮はあなたにお任せしますね」 安藤「わかりました。じゃあ、最初にこのテーブルを…」 藤乃「あの、部屋の掃除が終わったのですが…」 玄霧「おや、随分と早かったですね」 藤乃「まだここに来て日が浅いですから、あまり物も置いていませんし」 玄霧「そうですか。でしたらスタジオの清掃を手伝ってもらえませんか?」 藤乃「という訳でお手伝いに参りました」 安藤「じゃあ藤乃さんは神原さんと一緒に向こうの片づけをしてください」 藤乃「わかりました。神原さん、よろしくお願いします」 神原「こちらこそよろしくお願いします。ところでこの機会に藤乃さんに尋ねたいことがあるのだが」 藤乃「はい、なんでしょうか?」 神原「うむ、実は本編でライダーさんとイチャイチャしていたことについてだが」 藤乃「なっ、あれはいちゃついていたわけでは!」//// 神原「まあそこは否定してもらっても構わないが、私の今後の活動に役立てるためにいろいろと…」 筆頭「Hey、神原、talkより手を動かしな」 安藤「それにいまここで話を聞いてしまうと後のラジオで話題がなくなってしまいますよ」 神原「ふむ、それは困るな。仕方がない、ここは自重しよう」 筆頭「放送でも自重しろ変態」 ~~おまけ・スルー推奨~~ C.C.「~♪」 マリアンヌ「……なんでC.C.が掃除をしているのかしら……全く想像していなかった光景なんだけど」 C.C.「!!!」(物陰に隠れてマリアンヌをチラ見) マリアンヌ(えっ!!何いまの反応!!) C.C.「あ、あのう、どちら様でしょうか?…あっ!も、もしかして、新しいご主人様でしょうか!?」 マリアンヌ「まさかのギアス習得前の人格モード!!!?何があったのよC.C.!!!」 ※今ではどうでもいいことだが、クリスマスの夜に誤ってたまり場が『大掃除』されそうになってたね。
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5人と1人ともう1人(後編) ◆LJ21nQDqcs この状況を踏まえてスザクとC.Cがまず思い浮かべたのが、 スイッチを押しながらあの悪役然とした笑みを浮かべるルルーシュの姿だった。 人を密集させ、一気に一網打尽。 さらに崩落と言うルルーシュ得意の必勝パターン。 直感でしか無い。だが、二人はルルーシュだと確信した。 人を惹き付けるカリスマ、口車。 周到に準備を行う粘り強さ。 そしてパフォーマンスにも似た示威行動。 参加者の密集と政庁の崩壊とを可能にする全てをルルーシュは持っている。 問題は何故このような行動を取ったかと言うことだ。 ごく単純に考えれば、ルルーシュが殺し合いに乗った、と見ることも出来るだろう。 ◇ だがスザクは考える。 ゼロレイクエムの完遂にはルルーシュの存在は絶対だ。 それを最終目的とするならば、ルルーシュひとりの生還を狙うというのは至極当然の思考の帰結。 だが万難を排して自分の死に邁進していたルルーシュが、不確定要素しか無い優勝、そして生還などと言う道を選ぶであろうか。 そしてゼロレクイエムに必要なコマである自分やC.C.をむざむざ殺した上で、あのルルーシュが死者の蘇生などと言うロマンチックな方法を取るだろうか。 そもそも蘇生自体、信じるだろうか。 彼ならばゲームそのものの転覆、乗っとりを狙うのではないのか。 自分の願望が混ざってるかも知れないな、とスザクはそこまで考えて思い返す。 いずれにせよ、ルルーシュの許には少しでも多くの戦力を集めねばならない。 そして自分の足ならば一足で届く範囲にルルーシュは居る。 おそらくは政庁の崩壊を見渡せる、この周囲に。 (一刻も早くルルーシュの許へ駆けつけねば) スザクはすぐにでも政庁へ向けて走り出しそうになっていた。 ◇ C.C.もスザクと大体同じような思考を辿っていた。 優勝狙いではなく、主催潰しの一環であろうと。 そして、元気そうだな、と上から目線でルルーシュの姿を思い浮かべる。 だが、どうやってレイと戦場ヶ原ひたぎの二人をルルーシュと合流させたらいいものか、とぼんやり考えていた。 彼が9人もの人間を一網打尽にしたであろうことは、二人にも伝わっているだろう。 事情を知る自分やスザクならまだしも、他の二人にルルーシュが優勝狙いなはずはないと説明する事は相当に骨が折れるだろうことは容易に想像出来た。 せめて自分達が合流してから事を起こせなかったのかと、ここに居ない稀代のテロリストに対して文句も付けたくなる。 (やれやれ、相も変わらず性急な坊やだ) C.C.は自分勝手に面倒事を起こすルルーシュに、いつも通りで何よりだ、とため息をついた。 そして出来る事なら面倒事は全部スザクに押し付けようと考えたが、このトーヘンボクに柔軟な説明など出来るものだろうかと、またもため息を付いた。 ■ スザクは駆け出しそうになる足を必死に止めならがら、ひとまず高所にて政庁跡を観察しようと提案した。 言葉には出さなかったが砂煙で混乱する現場で見渡したところで、ルルーシュと出会える可能性は無きに等しい。 首輪の回収に崩壊した政庁の中を探索してくれたらバッタリ出くわすこともあるだろうが、さっさと政庁跡を後にする可能性も高い。 ルルーシュのことだ。逃走手段は確保しているはず。 ならば政庁周辺で動いた目標があれば、それがルルーシュだ。 それを聞いて、レイは首輪探知機で予めピックアップしていた程近くに建つ六階建てビルを指差す。 政庁と言う重要性ゆえ、その周囲数百メートルは狙撃対策のためか高層ビルは立ち並んでいない。 高くて五階建て、あるいは戸建住宅があるのみである。 さらに政庁の周辺、特に南側は大きな広場となっている。 つまり多少離れるが、六階建ての屋上に陣取れば政庁周辺は観察可能なのだ。 加えてレイが想定していたアーチャーを追うライダーへの狙撃も可能。 一行はガラスドアで閉ざされたビルの中に文字通り「割って」入り、電気の落ちているエレベーターを確認した後、急いで階段を駆け上った。 屋上に通じる扉はカギが締められていたが、弾数に余裕のあるレイ・ラングレンの銃でぶち壊し、一行は屋上へとたどり着く。 辺りにこのビルに匹敵する高さのものはない。 空が途端に開けて、冷えた風が吹きすさぶ。眼下には夕暮れに沈む街並みが見下ろせた。 スザクはすぐさま北西側に陣取り、政庁側を見る。 ルルーシュらしい高度かつ綺麗な発破だ。真っ直ぐに崩落している。あっさりと崩壊したのも道理だ。 あれならば砂煙で包まれるのは広場の中だけだろう。 素早く政庁周辺を見渡し、だがそれなりに遠くて見当がつかない状況に、双眼鏡が無いことを呪った。 するとC.C.が弄んでいたハロ達がマカセトケ!マカセトケ!と飛び出してスザクと南側に陣取るレイの元に馳せ参じる。 ドラグノフのスコープを使ってある程度の観察を終えていたレイは迷惑そうに、スザクは一縷の望みをオレンジハロに託し数分。 オレンジハロがイタ!イタ!と突拍子もない叫び声を上げて指を指す。 スザクは目を凝らし、そちらを見つめる。 するとなにやらうごめく人影らしきものが見えた。その中に見覚えのある一人! 「ルルーシュ!」 スザクの位置からは殆ど点にしか判別出来ぬはず。 しかし彼は確信した。あれはルルーシュだと。 すぐに屋上から降りようと階段へ向かうスザクをC.C.が手を横に広げて遮る。 せめて皆にどういう事か説明してから行け。わたしに説明させる気か、と。 スザクはなにを悠長な、とC.C.をはねのけようとすらしたが、戦場ヶ原の冷ややかな視線に我を取り戻した。 レイに至っては既に北西に向かって銃口を向けている。 そうだ、ここでルルーシュの元に行っても、レイも戦場ヶ原もルルーシュを爆破犯としてしか見ない。 記憶喪失とも言える今の状態のC.Cが、レイやひたぎに対して充分な説明が出来るとは思えない。ゼロ・レクイエムすら把握しているか分からない。 そしてスザクに裏切られたと言う思いは、ゲームに乗ったと思しきルルーシュへの怒りへと転嫁するだろう。 最悪の場合、スザクが現場に着いた頃には、レイの狙撃によってルルーシュの射殺体が転がる事になるだろう。 ルルーシュは自分と言う戦力を得る代わりに、レイや戦場ヶ原と言う作らなくてもいい敵を作る羽目になる。 この場において、ルルーシュに憎しみを集中させる意義は全く無いのだ。 スザクはオレンジハロにルルーシュの監視を命じて、ルルーシュと自分の関係性を軽く説明し始めた。 説明と言っても軽いものだ。 自分とルルーシュは盟友のようなものだと言う事。 不要な殺し合いをする人間ではなく、政庁の爆破に関しても主催側への反抗作戦か、おそらくは殺戮者からの自衛行為であろうこと。 そして今後の世界のためにルルーシュと自分は、なんとしてでもゲームから生還しなければならないこと。 だからといって自分もルルーシュもゲームに乗る気は毛頭ない。そう前置きしてスザクは続ける。 「ボクとルルーシュは、このゲームを破壊する」 今まで決心が出来ていなかった部分もある。 しかし政庁の崩壊で確信した。 ルルーシュも自分も思いはこのゲームに対する最終目標は同じ。 それが分かっただけでも、あの政庁の爆破を見た価値はある。 だからこそ決意を込めてレイや戦場ヶ原に説明出来た。 自分を偽らずに言う事が出来た。 これで信用されないのなら、それは自分の能力不足だ。 諦めざるをえないだろう。色んなものを。これまでレイに対して培ってきたものを。 「分かった」 とレイは答えた。 その釈明がなければ、この場からルルーシュとやらを狙撃していただろうが。とそこでレイは言葉を一旦閉じた。 戦場ヶ原といえば、あぁそうなの、と興味がなさそうな雰囲気だが、とりあえずはルルーシュに対する攻撃の姿勢はないようだ。 ただ、と戦場ヶ原は言葉を続ける。瞬間、屋上が何とも言えない緊迫した空気に包まれる。 「もし。もし、あの場に阿良々木君が居て。そして考えたくも無いけれど、あの爆破に巻き込まれていた場合。わたしはその男を殺すわ」 いつ取り出したのか、バールを床に叩きつけて宣言する。床がビシリとひび割れる。 足元の三匹の子猫が震え上がり、鋼鉄の女王の出現に空気が悲鳴をあげ、周囲の窓ガラスがビリビリと震える。 そこに一切の躊躇はない。やると言ったのならば、どんな状況であろうと彼女はやり遂げるであろう。 ルルーシュがよく言っていた、《覚悟》が、そこには存在した。 (彼女を敵に回してくれるなよ、ルルーシュ) スザクはそう願わずにはいられない。 ルルーシュは殺し合いに乗るような人間ではないが、目的のためになら手段を選ばない人間だ。 うっかりと。そう、うっかりと阿良々木君なる人物を犠牲にする手段に出ていないとは限らない。 だがここでそれを口に出す事は出来ない。 まぁそもそも阿良々木君なる人物はごく一般人のようなので、わざわざ巻き込む事はないだろう。 万が一、戦場ヶ原がルルーシュを襲うような状況に陥った場合も、その時処理すればいいだけの話だ。気は重いが。 よって精一杯の笑顔で、ソレハアリエナイヨ、と返すのが本当に精一杯であった。 後ろでC.C.がため息をついたのを、スザクははっきりと感じた。 スザクも心の中でため息をついた。なぜこんな説明をさせるんだ、C.C.、と。 ◇ ロスト!ロスト!というオレンジハロの声を聞いたのはその直後だった。 なんだって!とスザクが駆けつけるが、自動車のエンジン音が響き渡る他はなにも見えない。 アチラコチラに音が反響しているのか、どこから聞こえてくるのか分からない。 そして折悪く、日が沈む前特有の現象なのだろうか、屋上には強風が吹きすさんでいる。 やがて発生源を確かめることが出来ぬまま、エンジン音は途絶えた。 もう探す手立てはない。 なんてこった!とスザクに拳を振り下ろされた手すりが、哀れにもへしゃげる。 潜伏の得意なルルーシュのことだ、一旦身を隠されたら探しようが無い。スザク悔恨の至りである。 「やけに落ち込んでいるではないか、スザク。安心しろ。お前が独りではないように、あいつもおそらくは独りではない」 「感動的な慰めに聞こえるけど。それって私達足手まといが居るように、向こうにも足手まといが居るだろうってことよね」 スザクにとって戦場ヶ原が自分を足手まといと認めたことは密かに驚きであったが、それ以上にC.C.が自分を励ましているだろうことが驚きであった。 魔女にも人を思いやることがあるのか、などとルルーシュは軽口を叩くのだろうな、と思いながらスザクは素直に気を取り直した。 (潜伏するにしても、いずれどこかに移動するはずだ。ルルーシュ一人ならともかく、数人を引き連れて移動するなら、比較的容易に発見出来るはず) それがいつになるか。首輪探知機の再起動が早いか、ルルーシュが動くのが早いか。要はそれだけの話だ。 (最長で再起動まで、か。待てるかな) 自分をなんとか食い止めてはいるものの、今すぐにでも走りまわってルルーシュ、ルルーシュと叫んで回りたい気分だ。 だが、それは出来無い。もしルルーシュが今のC.C.と同じように記憶喪失になっていた場合。 皇帝ルルーシュに忠誠を誓う前にまで記憶が戻っていた場合。 ルルーシュは自分を警戒するだろう。お世辞にもあの時まで、自分はルルーシュの味方であるようには見えなかった。 その時、オレンジハロがアラームをあげる。 「ミツケタ!ミツケタ!カイガンセン!カイガンセン!」 スザクは立ち上がると、オレンジハロの許へ向かい、目を凝らす。オレンジハロは何時の間にやらビルの南西部分に位置を変えていた。 そのマニピュレーターが指さす先を見れば、ルルーシュを先頭に、数人が海岸線に向かっている。 「ルルーシュ!」 スザクは再び叫ぶと、オレンジハロをディバッグに入れ、今度は手すりから身を投げ出した。 そして隣のビルの壁を蹴って、隣のビルに向かい、またも壁を蹴り、壁を蹴り、とジグザグと降下し、減速しながら着地する。 そのまま南西へと駆け出していった。 ◇ 一瞬の早業。 レイも戦場ヶ原も、そしてC.C.ですらもあっけにとられるしか無かった。 先程オレンジハロが指さした方角、そして海岸線というキーワードを元に、ある程度の場所の見当をつけて、レイはドラグノフを構えてスコープ越しに海岸線を見る。 (全部で6人、か?先頭に立つ白いローブを着た男がルルーシュだろうか) 足取りからして、女性のうち2人は確実に素人。さらに重傷なのだろうか、ぐったりとした少女一人を背負うという無茶をしているが為に、こちらでも捕捉出来たと言える。 周囲にどうやらそれ以外の人影はない事を確認すると、しかし万が一のことも考えてスザクとルルーシュ一行を交互に監視する。 せわしなくライフルを動かすレイに対して戦場ヶ原は一応だけど、と質問する。 「阿良々木君はそこにいるかしら」 その後身体的特徴をつらつらと述べられるが、該当する人間はいない、とレイは遮って伝えた。 それを聞くと戦場ヶ原は、では政庁の跡地に阿良々木君が居るかも知れないわね、と言って階段を降りようと歩くが、それをレイは止める。 死体の確認はいつでも出来る、と。 「なら象の像に行きましょう。そこに人が集まるのでしょう?単独行動をするような低能など放っておいてもいいんじゃないかしら」 「確かに道理だが、俺はスザクの結果を見届けると決めた。放っておく事など出来無い」 レイを勧誘出来なかった時点で、戦場ヶ原の行動は未遂に終わった。 狙撃出来る位置に居る人間を前に、的になるつもりは毛頭ないからだ。 そして戦場ヶ原はレイが仮想アーチャーとした目標を、なんとなく追おうと南東に向かったその時、赤ハロが突然跳ねながら叫ぶ。 「マッテイロ、ルルーシュ!」 なんとも恥ずかしい叫び声ね、と率直な感想を戦場ヶ原が持ち、どういうことなのかしらと赤ハロに問いただすと、ドーキ!ドーキ!と答え出す。 あぁ同級生という意味の同期と、通信の同期を掛けていたのね、と戦場ヶ原はこの珍妙なマスコットを作った人間のセンスを、本気で哀れんだ。 とにかくも通信手段を得たのは心強い。 戦場ヶ原は赤ハロを持ち上げてレイの元に持っていこうとしたその時、視界の端っこにE-5を走る小さな点を見つけた。 ◆ 上条当麻を見失ったサーシェスは自身の探索能力に失望しかけたが、色々と悪条件が重なっただけのことだと気を取り直す。 プロの傭兵は少々のことで弱音や失望などしていられないのだ。 まずい飯や、泥沼の行軍、整備もしっかりしていない旧世代MSが支給された時、連携も取れない未熟な手駒しか無かった時。 不満を漏らしたいときはいくらでもある。 だが不利な状況を与えられた時や失敗を犯した時にこそ、傭兵の真価は問われる。 そして、いつもそれを乗り越えてきたという自負こそが、彼を数多の戦場で生き残らせ、戦果を挙げさせてきたのだ。 そう、そもそもツンツン髪を見失ったところで基本方針は変わらない。 象の像へ向かい、お利口さん達に紛れ込む。それだけだ。 ただ比較的楽な手段を取り逃がしただけの話。次善の策はいくらでもある。 そしてまた走りだす。象の像に向かって。 ◆ レイはスコープを覗きながら、舌打ちをした。 ルルーシュ一行がそのまま崖に隠れたかと思うと、揚陸艇らしきものが海岸線を離れたからだ。 まず間違いなく揚陸艇にはルルーシュ一行が乗っている。スザクは間に合わなかったのだ。 延長線上にスコープを滑らすとスザクは必死の追跡を続けている。 肩を落として帰ってくるスザクを幻視して、レイもややため息をついた。 一方、戦場ヶ原は赤ハロを手に、スコープを持つレイの元に駆け寄った。 それまでスザクが間に合うかどうかだけを気にして、壁の花を気取っていたC.C.も、 (どうやらルルーシュに合流するのは先のことになりそうだな) と深い溜息をついて、気を取り直すことに決めたらしく、なにやら面白そうだと戦場ヶ原、そしてレイに近づく。 「これ、通信機能がついているようだけど、貴方に貸してあげるわ。利子はいらないけど、代わりにそのスコープを貸してくれないかしら」 言うや否や赤ハロを手渡し、ドラグノフを持ち去ろうとするが、予想以上の重さにたたらを踏む。 戦場ヶ原を軽く睨みつけたレイは、どっちを見張ればいい、と南東部に移動する。 そして戦場ヶ原が指さした方角をスコープで覗き見たレイは、ツンツン頭の黒髪の少年の姿と、その後方に迫るアリー・アル・サーシェスの姿を確認した。 ◆ 走り出したサーシェスはある程度蛇行しつつも順調に橋に向かっていた。 ビルの谷間を抜け、ふと視界が開ける。 そこでサーシェスは信じてもいない神に感謝した。 なんという巡り合わせ。 見失ったと思っていたツンツン髪の黒髪の少年の姿がそこにあった。 しかも息が上がって呼吸を整えている。 声を掛けるならば今だろう。そう思って近づこうとしたサーシェスの目にある見覚えのある風景が映った。 崩壊した一軒家。 そう、驚異的な戦闘力を誇る、今は亡きアーチャーとの一戦を繰り広げた一画。 あの時、ガトリングガンの奇襲で、あの一軒家はぶち壊され、中にいた人間に対して痛撃を与えたはず。 その後、なにやらレールガンのような光によって、完全に崩壊したが。 この光景と、そしてツンツン髪の少年がアーチャーと共にいた事。 組み合わせ的に偶然とは彼には思えなかった。 (つまりよぉ、あそこで死んだんだか重傷負った人間を、墓参りだか見舞いに来たってことかぁ? これってつまりよぉ、首輪二つ労せずしてゲット、つまり宝の山ってことじゃねぇのか?) 少年一人に、多くても重体の人間ひとり。どう見積もっても時間はかからない。 象の像にたどり着く前のちょっとしたボーナスタイム。 またしても存在不証明な神に感謝しつつ、宝の在処を示してくれる水先案内人を物陰で見守った。 だが、不信心者に祈られた神の怒りだろうか。 彼には天罰が降ろうとしていた。 ◆ 状況を説明したレイは、アリー・アル・サーシェスと言う人物の説明を軽くした後、どういう事だ、と女性陣を見上げて言う。 「上条くんが御坂美琴の死体を引き取りに来た、と言う事で間違いないわね」 「なんとも律儀な坊やだ。そしておそらく。そのアリー・アル・サーシェスとやらは私を襲った赤毛の男で間違いないだろう」 根拠は三つ。 ・立ち止まっている人間に対して、攻撃するでも無く話しかけるでもないと言うことは、何かを横取りするつもりであろうと予想出来ること。 ・あの場所になにがあるか予想出来るのは、あの戦いに関係した人間と、その場に立ち寄った戦場ヶ原ひたぎと上条当麻だけであること。 ・女の勘 特に最後の三つめが決め手だった。 戦場ヶ原もそれに関しては完全に同意し、レイもそれなら仕方ないな、と納得せざるを得なかった。 ならどうするか。 「決まっている。あの坊やの許にスザクを急行させ、お前も救援に向かえ」 「あなたと意見が合致するなんて、気持ち悪いわね」 状況は逼迫している。対応出来る、最も確実で素早いスザクに第一陣。後詰にレイを向かわせるのは理にかなっている。 ここから狙撃サポートするにしても、途中障害物が多く、さほど助けにならないことも確かだ。 早速レイは赤ハロを通じて、スザクに連絡を付ける。向こう側のスザクは突然の呼び掛けに戸惑っていたようだが、すぐに冷静さを取り戻していた。 赤ハロがオソカッタカ!やらナンダッテ!などと叫び、どうやら通信を終えたレイは、しかし、と疑問符を浮かべた。 赤毛の男に対して個人的な恨みがあると思われるC.C.の意見はまだわかるが、なぜ戦場ヶ原も赤毛の男に対処することに同意なのか、と。 戦場ヶ原も、また自問していた。何故そのように答えたのかと。 多分、と理由を考える。 神原を犠牲にすることに、本気で怒ってくれたからでしょうね。 夕陽は遠く頭を隠しつつあり、月は光り、夜の世界が顔を出していた。 【E-5北東/六階建てビルの屋上/一日目/夕方(放送直前)】 【戦場ヶ原ひたぎ@化物語】 [状態]:ポニーテール [服装]:直江津高校女子制服 [装備]:文房具一式を隠し持っている、ヘアゴム スフィンクス@とある魔術の禁書目録、 アーサー@コードギアス 反逆のルルーシュR2、あずにゃん2号@けいおん! [道具]:支給品一式 X2 不明支給品(1~3、確認済) 、バールのようなもの@現地調達 [思考] 基本:阿良々木暦と合流。二人で無事に生還する。主催者の甘言は信用しない。 0:レイとスザク、そして上条当麻が帰ってくるのを待つ。 1:その後、なるだけ急いで象の像へ向かう。 2:ギャンブル船にはとりあえず行かない。未確認の近くにある施設から回ることにする。 3:正直、C.C.とは相性が悪いと思う [備考] ※登場時期はアニメ12話の後。 ※安藤から帝愛の情報を聞き、完全に主催者の事を信用しない事にしました。 ※安藤の死亡によりギャンブル船に参加者が集められているかは怪しいと考えています。 【C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュR2】 [状態]:健康 [服装]:血まみれの拘束服 [装備]: [道具]:基本支給品一式 阿良々木暦のマジックテープ式の財布(小銭残り34枚)@化物語 ピザ(残り55枚)@コードギアス 反逆のルルーシュR2、赤ハロ@機動戦記ガンダム00 [思考] 基本:ルルーシュと共に、この世界から脱出。 不老不死のコードを譲渡することで自身の存在を永遠に終わらせる――? 0:赤ハロを使ってスザクとレイのサポートをする 1:その後、おそらく象の像に移動したルルーシュと合流する 2:利用出来る者は利用するが、積極的に殺し合いに乗るつもりはない 3:正直、ひたぎとは相性が悪いと思う [備考] ※参戦時期は、TURN 4『逆襲 の 処刑台』からTURN 13『過去 から の 刺客』の間。 ※制限によりコードの力が弱まっています。 常人よりは多少頑丈ですが不死ではなく、再生も遅いです。 ※赤ハロとオレンジハロ間で通信が出来るようになりました。通信とは言えハロを通しているため、声色などはハロそのものにしかなりません。 【E-5東/一日目/夕方(放送直前)】 【レイ・ラングレン@ガン×ソード】 [状態]:疲労(中)、肋骨を数本骨折(処置済み)、左肩に銃創(処置済み)、脇腹に浅い銃創(処置済み)、ツッコミ属性獲得? [服装]:武士のような民族衣装(所々破損) [装備]:レイ・ラングレンの銃@ガン×ソード [道具]:基本支給品一式×1、デイパック、ドラグノフ@現実(10/10)、 GN首輪探知機@オリジナル、平バール@現実、 麻雀牌@咲×31個、ユンケルスター@現実×8、パチンコ玉@現実×大量、コンビニの商品多数(内容は後の書き手さんにお任せします) [思考] 基本:もう少し生きてみる。 1:スザクの救援に向かう。 2:枢木スザクの『結果』を見届ける。 3:あるものは使う。 [備考] ※参戦時期は第8話~第12話のどこかです。 ※ブラッドチップ・3ヶ@空の境界は円形闘技場に置いてきました。 ※三回放送の前後に『E-3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランをスザクから聞きました。 ※スザク、神原、アーチャー、一方通行と情報を交換しました。 ※飛行船についての仮説を一方通行から聞きました。 ※ライダーの石化能力と藤乃の念動力についての分析を一方通行から聞きました。 ◆ ようやくと息を整えた上条は歩を進める。。 一戸建てが並ぶ住宅街。その中の一つにはっきりと意志をもって向かい、扉を開ける。 予測が正しかったことを確信したサーシェスは隠れながら、その後をついて行く。 無用心にもカギも締めずに扉を閉めた上条に注意しながら感謝して中に入る。 どうやら上条は二階に上がっていったようだ。 さて階段を登るか、戻ってきたところを詰問するか。 扉の中に入って贅沢な二択に思い悩んでいた、その瞬間、気配を感じて身を潜める。 ドアの覗き窓から外の様子を伺う。 よくアパートなんかにある鳥の目ではなく、カーテンを敷いた比較的横長な覗き窓だ。 ある程度の範囲は見渡せる。 こちらへ向かってくる人影は1つ。 真面目くさった東洋人の少年。信長にぶつけた奴だ。まだ生きていたとは予想外だな、と手早く記憶を引っ張り出す。 あれならば気づかれても交渉の余地はある。上手くすれば合流することも容易。 ひとまずは安心か。 スザクはまっすぐサーシェスがこの家に向かってきている。 あいつ、何が目的で、と思考をめぐらしすぐにピーンと来る。 そうか、あいつもアーチャーからここの場所を聞き出していたのか。 結構したたかじゃないか、とサーシェスはスザクに対する評価を改めた。 まぁある程度同類の方が紛れ込みやすいか、と考え、まずはスザクと合流することを決断する。 もし合流を否定されたら、ガトリングガンを不意打ちで撃ち放てばいい。 1人だけなら不意を付けば一瞬だ。 身だしなみを整えて、息も整える。 設定はこうだ。 たまたま入った家でくつろいでいる所を、来訪者。慌てるサーシェス。もてなすサーシェス。 なんだかんだで意気投合。一緒に行動しようじゃないか、いいだろう。 フゥ、と一息つく。 成功のイメージを掴んだサーシェスはソファーに寝転び、スザク達の来訪を待つ。 やがて来訪者来る。 わざとらしくソファーから飛び起きようとしてずり落ちて、相手の油断を誘う。 ソファー越しにある程度時間をかけてスザクを確認してみせたサーシェスは、立ち上がって鷹揚に手を広げ、スザクを迎え入れる。 「おぉ、誰かと思ったらあんたか、俺だよ、アリー・アル・サーシェスだ」 その瞬間、スザクは右腕で隙なくベレッタを構え、引き金を引いた。 【E-5/一軒家/一日目/夕方(放送直前)】 【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュR2】 [状態]:疲労(中)、左腕骨折(処置済み)、「生きろ」ギアス継続中 [服装]:ナイトオブゼロの服(マント無し) [装備]:ベレッタM1934(7/8)、GN拳銃(エネルギー残量:中) 、鉈@現実 [道具]:基本支給品一式、ノートパソコン@現地調達、オレンジハロ@機動戦士ガンダムOO、9mmショート弾(22発) 救急救命セット@現実、柳刃包丁@現実、工具一式@現実、雑誌@現実×多数、真田幸村の首輪 [思考] 基本:この『ゲーム』を破壊し、ゼロレクイエムを完遂する。 0:サーシェスを倒す。 1:ルルーシュと合流する 2:首輪を外せる技術者を探したい。 3:ルルーシュに危険が及ぶ可能性のある要素は排除する。 4:明智光秀、織田信長、平沢憂、バーサーカー、ライダー、黒服の女(藤乃)に用心する。 5:確実に生きて帰る為の方法を探す。 [備考] ※ラウンズ撃破以降~最終決戦前の時期から参戦。 ※主催が不思議な力を持っていることは認めていますが、死者蘇生が可能という点は全く信じていません。 ※もしかしたら『敵のアジト』が『黒の騎士団のアジト』ではないかと少し疑っています。 ※三回放送の前後に『E-3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランを政宗と神原から聞きました。 ※政庁で五飛が演じるゼロの映像を見ました。また、ビデオメールの送信元と受信時間を確認しました。 ※アーチャーとC.C.が行動を共にしていることを知りました。 ※政宗、神原、レイ、アーチャー、一方通行と情報を交換しました。 ※飛行船についての仮説を一方通行から聞きました。 ※ライダーの石化能力と藤乃の念動力についての分析を一方通行から聞きました。 ※赤ハロとオレンジハロ間で通信が出来るようになりました。通信とは言えハロを通しているため、声色などはハロそのものにしかなりません。 【アリー・アル・サーシェス@機動戦士ガンダムOO】 [状態]:疲労(小)、腹部にダメージ、髭をそった、髪を少し切ってイメチェン [服装]:ジャケットとズボンと靴(動きやすさは抜群) [装備]:ガトリングガン@戦国BASARA 残弾数50% 果物ナイフ@現実 作業用ドライバー数本@現実 タバコとライター@現実 [道具]:基本支給品一式、 ガトリングガンの予備弾装(3回分) ショットガンの予備弾丸×78 文化包丁@現実 [思考] 基本:この戦争を勝ち上がり、帝愛を雇い主にする。 1:どうにかしてこの場を切り抜ける 2:更に周辺を見て回り、できれば組める相手を見つける。 それが最適な選択になるならば、組んだ相手を騙すことも。 3:殺し合いをより楽しむ為に強力な武器を手に入れる。 4:ゼクスは胡散臭いが、彼の知り合いに接触する価値はある。 恩を売っておきたい。 余裕があれば暦に接触してみたい。 【備考】 ※セカンドシーズン第九話、刹那達との交戦後からの参戦です。 ※五飛からガンダムWの世界の情報を取得(ゼクスに関してはやや誤解あり。ゼクス=裏切りもの?)。真偽は保留にしています。 情報収集のためにヒイロ、トレーズ、デュオ、伊達政宗、神原駿河と接触する方針を続行。 ※この世界の違和感(言語の問題等)は帝愛のせい、ということで納得しているようです。 ※D-6のデパートには駐車場(車あり)があるようです。 ※スザク、レイ、一方通行がアーチャーに接触した可能性があるとみています。 ※E-3へ奇襲を仕掛けるか、逆に離れるかは、ライダーと藤乃の出方次第です。 ※ライダーとはアーチャーが、藤乃とは式が、それぞれに共通した敵であると伝えました。 時系列順で読む Back 5人と1人ともう1人(前編) Next 迷い路-其の先に在るモノ- 投下順で読む Back 5人と1人ともう1人(前編) Next 迷い路-其の先に在るモノ- 224 5人と1人ともう1人(前編) C.C. 230 待ち猫オーバーイート! 224 5人と1人ともう1人(前編) 戦場ヶ原ひたぎ 230 待ち猫オーバーイート! 224 5人と1人ともう1人(前編) 枢木スザク 237 とある傭兵の戦争記録<レクイエム> 224 5人と1人ともう1人(前編) レイ・ラングレン 237 とある傭兵の戦争記録<レクイエム> 224 5人と1人ともう1人(前編) アリー・アル・サーシェス 237 とある傭兵の戦争記録<レクイエム>